2022年夏の甲子園、出場校の主将らが整列する阪神甲子園球場
2022年夏の甲子園、出場校の主将らが整列する阪神甲子園球場

 全国の都道府県には明治時代に入って旧制中学校が誕生した。多くは都道府県庁所在地にいちばん最初に作られた学校である。一番目、という序列を示すかのように、いまでも旧制一中と称されることがある。旧制一中は戦後、新制高校に引き継がれた。これらは歴史と伝統があるので地域の優秀な生徒が集まり、東京大や京都大に多く合格者を出す進学校として、全国的にも知られている。北海道札幌南高校、都立日比谷高校、愛知県立旭丘高校、大阪府立北野高校、岡山県立岡山朝日高校、鹿児島県立鶴丸高校などだ。

【写真】「甲子園はもう飽きた」と、試合当日ベンチ入りせずテレビで観戦した伝説の名将

 今年の全国高校野球選手権大会和歌山県予選の決勝カードは、智弁和歌山高校対県立桐蔭高校。桐蔭高校は1879(明治12)年、県立和歌山中学校して開校した旧制一中だ。その後、和歌山尋常中学校、和歌山第一中学校などと名前を変え、戦後、新制高校に切りかわったとき、県立桐蔭高校としてスタートしている。県内ではもっとも古い学校だ。

 桐蔭高校は前身の旧制和歌山中時代に何度も甲子園に出場し、優勝も経験している。同校OBは古豪復活に歓喜した。

 だが、相手は、昨年全国制覇した智弁和歌山。強すぎる相手だ。結果は2対7で甲子園行きの切符を逃してしまったが、決勝まで進んだのは、たいへんな善戦である。

 旧制第一中学校(旧制一中)および旧制一中を起源とする高校はスポーツも強かった。野球では好成績を修めている。そこで旧制一中、旧制一中を引き継いだ高校の甲子園での成績を調べてみた(本稿は『「旧制第一中学」の面目』(NHK出版)の一部を再構成した)。

*  *  *

 旧制中学校時代、夏の全国大会は、戦前は全国中等学校選手権大会と呼ばれ、出場校には一中(以下、旧制一中を「一中」、「~~中学」は「~~中」と表記。カッコ内は現校名)がよく顔を出していた。

 第1回大会は1915(大正4)年に行われ、秋田中(秋田高校)、和歌山中(桐蔭高校)、広島中(広島国泰寺高校)、鳥取中(鳥取西高校)、高松中(高松高校)が出場している。全参加校は10校しかなく、半分を一中が占めていた。中学校自体の数が少なかったとはいえ、一中が野球に力を入れていたことはたしかである。

次のページ