夏が近づいたある日、我が家の布団にくっついている小さな虫がいた。大きさは5ミリもないだろうか。黒っぽい色で、布団のカバーが淡色でなければ気づかなかったかもしれない。とりあえず取り除いたのだが、別の個体たちが布団や押し入れの服に次々と現れ、いなくなってくれない。布団のカバーが淡色でなければ気づかなかったかもしれない。とりあえず取り除いたのだが、別の個体たちが布団や押し入れの服に次々と現れ、いなくなってくれない。わが家で一度も見たことがなかったキミたち、一体何者で、どこから来たの?なんでいなくなってくれないの?調べてみると、意外な正体が――。
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「ヒメマルカツオブシムシでしょう」
いきなり横文字の長い名前を言われ、面食らった。
筆者は自宅の布団などに発生した「謎の虫」の正体を探ろうと、虫ケア用品大手・アース製薬の担当者に話を聞いた。布団にいたのはこの名前の虫で、次々に登場したのはその幼虫らしい。
「G」のつく“最恐”生物やダニなど、一般家庭に現れる害虫は数々いるが、ヒメマルカツオブシムシという名前は初めて耳にした。
ちょっと変わった名前の彼らが、なぜ突然わが家に……。家に住んで11年間、一度も見たことはなかったはずだ。
担当者によると、ヒメマルカツオブシムシの成虫は、白と黒褐色のまだら模様が特徴の甲虫だという。同社のホームページにある成虫の写真を見てみると、見覚えがあった。確か去年の梅雨ごろだったか、寝室の布団にこの成虫がいたような気がする。同じ甲虫であるテントウムシを小さくしたような初めて見た虫で、かわいらしくもあったのでぼんやり記憶していた。
虫嫌いではないのだが、ちょっと身体がむずむずしてきた。担当者はこう説明してくれた。
「成虫は白い物に誘引される特徴があります。白っぽい布団やシーツ、衣類などの洗濯物、白い花などに集まりやすく、気づかないうちに洗濯物などについて屋内に侵入することがあるんです」