「あれも最初は5回表終了後のダンスタイムに、つば九郎が勝手にやり始めたんですよ。5回裏終了後(のグラウンド整備の時間)はいろんなアトラクション(ファン同士のじゃんけん対決など)があったんですけど、コロナでその辺が自粛になって、代わりに空中くるりんぱがフィーチャーされたんです。つば九郎もあれは成功するもんじゃないと思ってるんじゃないですか(笑)。でも時々惜しいのありますよね。僕のアナウンスもそういう時はテンション上がります」(パトリックさん)

 つば九郎は今年、デビュー以来の主催2000試合連続出場を達成するはずだった。ところが4月に新型コロナウイルスの濃厚接触者と判定され、連続出場はストップ。7月には自身が新型コロナウイルス陽性判定を受けながらも、8月5日の巨人戦(神宮)で、ついにプロ野球のマスコットとしては史上初となる通算2000試合出場を達成した。

 この偉業を称えたのは、前述の「オープンハウス」だけではない。投手として通算200勝以上、または通算250セーブ以上、打者としては通算2000安打以上を入会規定とする日本プロ野球名球会が特別表彰を決め、8月7日の試合前には会員の若松勉ヤクルト元監督がつば九郎に特別仕様のスーツと表彰状を贈っている。

 また、8月5~7日の3連戦では、球団のレジェンドである古田敦也、かつての相棒のラミレス、中日で選手兼任監督も務めた谷繁元信に、現役の巨人・坂本勇人丸佳浩、さらに大のヤクルトファンとして知られる歌手のさだまさし、芸人の出川哲朗、果てはミュージシャンの小室哲哉などなど、球団やジャンルの垣根を越えて多くのお祝いのビデオメッセージが寄せられた。このあたりからも、つば九郎がいかに愛されているかうかがい知ることができる。

 神宮ではヤクルトファンのみならず、ビジターチームのファンがつば九郎グッズを身に着けている姿もよく目にする。ディナーショーなどのイベントには野球に興味のない「つば九郎推し」のファンも訪れるという。その魅力はどこにあるのか? 現在の相棒であるパトリックさんに聞いてみると──。

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つば九郎は「天才だし、エンターテイナーですよ」