原監督の実績には文句のつけようがない。だが、19、20年の日本シリーズではソフトバンクに2年連続で4連敗を喫する屈辱を味わった。また、ソフトバンク以外にも両リーグに勢いあるチームが次々と出てきた。巨人ブランドも輝きを失いつつあり、チーム内にも良くない雰囲気が漂い始めている。
「阿部慎之助(現ヘッド兼バッテリーコーチ)が現役の頃はまだ良かった。多少、縦社会のノリもあったが明るくチームを牽引していた。しかし引退後に二軍監督となり、罰走などの指導方法に非難が集まり大人しくなってしまった部分もある。巨人には自ら盛り上げるタイプが少ないので、どんどん静かなチームになっていった」(V9時代から巨人を知るスポーツライター)
「主軸選手の元気のなさも気になる。キャプテンを務めている坂本勇人も明るさを全面に出す選手ではない。岡本和真も最初はいじられキャラで盛り上げ役を担っていたが、口数が極端に減ってしまった。中心選手の2人に元気がなければ暗い空気が流れてしまう。チーム再建には雰囲気を良くすることも大事」(在京キー局スポーツ担当者)
そういった状況もあってか、今季リーグ4位に終わった巨人が真っ先に手をつけたのがコーチ陣。現役時代から明るいキャラで知られる大久保氏を打撃チーフコーチとして招聘した。08年の西武打撃コーチ時代にはアーリーワークを導入し、エネルギッシュな指導で若手を鍛え上げ、巨人を下しての日本一に貢献した。
「少しでも出過ぎた発言や行動をすれば炎上する時代なので、誰もが大人しくなってしまう。周囲の空気に影響されない大久保氏のようなタイプが必要だった。西武時代の実績もあるが、それ以上にチーム活性化を狙ってのことだろう。早速指導を始めた秋季練習では、グラウンド上に大久保コーチの声が響いている」(在京キー局スポーツ担当者)
大久保氏のYouTubeや各マスコミ上での歯に衣着せぬ発言は賛否両論がある。しかし「今の巨人に必要な人材だ」と原監督が判断し、直接連絡をして就任要請をしたことが話題となった。西武退団後は楽天打撃コーチを経て同球団の指揮官を務めるなど、指導者としての評価が高いのも大きい。