サウナはよく眠れるというだけではない。朝サウナに入ることによって、眠気を覚ますこともできるという。最近では、“朝ウナ”と称して、朝のサウナ浴にも人気が集まっている。朝ウナはどんなふうに入るのが効果的だろうか。

「朝ウナはからだにちょっと刺激を入れて、からだを目覚めさせるのが目的です。軽めにさっと1セットだけ入るのが基本。眠気も飛んで、脳もからだもシャキッとします。朝ウナによって日中の快適性が上がり、疲れにくくなるという報告もあります」

 朝ウナでは、サウナ室にいる時間を短めにして、水風呂もからだの表面をさっと冷やす程度にし、外気浴も短めにするのがコツだ。朝からしっかり入ってしまうと、深部体温が上がり、眠くなってしまうためだ。

「サウナ後は感覚が研ぎ澄まされるので、朝ウナのあとのコーヒーはとくにおいしく感じられます。頭もシャキッとする。『朝ウナ後においしいコーヒーを飲み、仕事へ向かう』というのが私のモーニングルーティンです」

 ぐっすり眠りたい夜のサウナの入り方はどうだろうか。

「時間をかけてじっくり3セット入るのがおすすめです。それによって、交感神経と副交感神経の振り幅が大きくなり、深部体温も大きく上がり、その後ゆっくり下がって、ぐっすり眠れます。からだの疲れ、脳疲労もとることができる。しっかり長くサウナに入るときは、こまめな水分補給も忘れないようにしてください」

 サウナはテレワーク中の眠気覚ましや気分転換にもおすすめだという。

「メリハリのつきにくい自宅でのテレワーク中の気分転換にもサウナは有効です。ただ、入り方によっては眠くなってしまうので、集中力が切れたタイミングで、さっと1セット入るのがおすすめ。眠気も覚め、気分もリフレッシュしてまたやる気が出てきます」

■“疲れすぎ”状態でのサウナは禁物

 ただし、サウナに入らないほうがいいケースというのもある。たとえば徹夜続きで睡眠不足、疲労困憊(こんぱい)しているといったケース。サウナ室で思わず眠ってしまうほど疲労しているときのサウナは厳禁だ。高温のサウナで眠ってしまうと、わずかな時間でも重大な事故につながってしまう。

「睡眠不足や過度な疲労、風邪気味、二日酔いなど、体調がよくないときにはサウナは控えましょう。サウナで倒れてしまう恐れもあり、症状を悪化させてしまいます」

 サウナ通いを習慣にしてしまうのが「調子がいい」状態を保つコツ。健康維持には週2~3回、1回あたり最大3セット、超高温サウナや超低温水風呂など極端な入り方を避けることを加藤医師はすすめている。サウナを上手に活用して心地よい眠りとさわやかな目覚めのある生活を目指してほしい。 

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加藤容崇医師
加藤容崇医師

加藤容崇(かとう・やすたか)/ 日本サウナ学会代表理事・慶應義塾大学医学部特任助教。1983年、群馬県生まれ。北海道大学医学部卒。専門はがんの遺伝子検査とがん(主に膵臓がん)研究。第2の専門は予防医療としてのサウナの研究で、日本サウナ学会を2019年に設立。株式会社100plusも設立し、サウナ室内混雑リアルタイム表示システム&アプリ「サの国」や「ととのう」を数値化するデバイス・アプリを開発している。著書に『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)などがある。

(文・石川美香子)

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