※写真はイメージです(gettyimages)
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 健康増進効果が高いとされるサウナ。上手に活用すれば、睡眠の質を高め、眠気や睡眠をコントロールすることもできるという。そのメカニズムと、さまざまなシチュエーション別のサウナの入り方について、サウナの健康効果を研究する現役医師に解説してもらった。

【教えてくれた「サウナドクター」、加藤容崇医師はこちら】

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 自律神経の調整に加え、集中力アップ、睡眠の質の向上、美肌効果、冷え性の改善……。サウナの効能として知られているものは数多い。そのなかでも「睡眠の質の向上」はサウナ初心者でも体感しやすいという。

「サウナ体験の初回から『いつもよりぐっすり眠れたな』と実感する人が多いです。そして何より寝起きがいつもと違う。『翌朝パッと起きられた』という声は多いですね」

 日本サウナ学会代表理事の加藤容崇医師はそう語る。加藤医師は予防医療として、サウナを医学的見地から日々研究している通称「サウナドクター」だ。

■サウナで眠りに最適な体温にととのう

 そもそも「サウナ」とは、サウナ、水風呂、休憩(外気浴)を1セットとするサウナ浴のこと。一連の流れのなかで、からだは自動的に副交感神経、交感神経と交互に切り替わる。定期的にサウナ浴を繰り返すと自律神経の調整機能が鍛えられ、健康効果を高めることができるという。

 なぜサウナは睡眠の質を高めることができるのだろうか。自律神経の調整によってコンディションがアップすることに加え、サウナならではの体温変化が影響しているのだという。

「サウナ後は副交感神経の働きにより、100度近い高温で高まったからだの中心部の熱が末梢へと少しずつ移動していきます。深部体温が下がり、末梢体温が高くなるという現象が起こる。この状態は寝ているときの赤ちゃんと同じ。つまり、眠りに最適な身体状態です」 

 末梢体温が深部体温より高くなり、その温度差が大きいほど、人は眠くなるというメカニズムがあるという。

「サウナを出て約2時間後に、深部体温は最も低く、末梢体温は最も高くなります。このタイミングで布団に入れば、眠りにはベストコンディション。ぐっすり眠れます」

 入浴だけの生活では得られない、サウナ特有の眠りの深さもあるという。それを立証するため、加藤医師はサウナ施設を有するホテルや、睡眠や健康に関連した企業と共同で、20~60代の男性10人を対象にサウナ浴の睡眠への効果検証をおこなった。

「検証の結果、入浴に加えてサウナ浴を取り入れることで、入浴のみの場合よりも、寝つきや目覚めの良さは有意に改善し、熟睡時間や熟睡度なども向上する傾向があることがわかりました。サウナ後は深くよく眠れるため、目覚めもいいのです」

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“朝ウナ”で眠気すっきり