難関校狙いの場合、まずはこの時期までにわが子を上位に引っ張り上げる必要がある。塾通いをサポートするだけでなく、やれることはたくさんあるという。

 例えば、子どもと一緒に買い物に行って野菜の産地を見て回ったり、地方へ旅行に行った際は特産品を一緒に食べたりするなど、社会の知識につながる経験をさせると、その後の知識が体験と結びついて強固なものになる。そうした子どもの興味関心を育てる工夫ができる家庭であれば、5年生以降の学習もスムーズに進むことが多いという。

 次のポイントは、4年の終わりから5年の頭にかけて。この時期に塾のカリキュラムは、これまでの6割り増しの勉強量になるという。授業のコマ数が増え、夜のお弁当を持参する生活が始まる塾も多い。

「わが子は塾のスピードについていけるか、保護者もより厚いサポートができるか。ともに覚悟が必要になる時期です。また、通っている塾のシステムに今後も乗っていけるのか、という判断も必要になってきます」(同)

 大手塾では、新5年生のスタートからクラス数が増える傾向がある。例えば、これまで8クラスの真ん中にいた子が、倍の数のクラス編成になることで、クラスが落ちていくこともある。後から入塾してきた瞬発力の高い子に抜かされることもある。成績順の座席は後方が定位置となってしまい、さらに下のクラスへ落ちるのではないかという不安が常につきまとう。そんな心が折れそうになる厳しい状況も、大手塾などではよくあることだ。

 その上、新5年生からは志望校判定模試の回数も増え、数値として明確に合否を突き付けられる機会が多くなる。タフさや競争心がなくては生き残れない時期なのだ。

 そして迎える、最大の難所である5年生の夏。新しい知識を大量にインプットしていく一番大変な時期であり、個々の学力差もこれまで以上に大きく開く。

「ここがまさに踏ん張りどころで、この夏さえ乗り越えれば大丈夫と言えます。志望校が見えていて、子どものやる気が続いていれば、あとは本番まで突き進むのみです」

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志望校選びのポイント