嶺井に対して控えになる可能性が高いのになぜ移籍するのかという声もあるが、出場機会を求めて成功した例も確かに存在している。1人目は藤井だ。楽天では嶋基宏の台頭によって出場機会を減らしていたが、阪神移籍後に見事に復活。移籍3年目の2013年には112試合に出場し、キャリアハイとなる77安打も放っている。もう1人が2度目のFA移籍で古巣の日本ハムに戻った鶴岡だ。2017年は甲斐の成長で出場機会が激減したが、日本ハム復帰1年目には101試合に出場するなど活躍。まだまだ力があるところを見せている。捕手が特殊なポジションということを改めて感じさせた例と言えそうだ。
FA以外でも石川亮がトレードで日本ハムからオリックスに移籍しており、捕手の数が少ない中日なども現役ドラフトなどで捕手の獲得に動く可能性は高い。今後も捕手が移籍市場を賑わすことは十分に考えられるだろう。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。