■匿名ドナーにも非匿名ドナーにもなれる
クリオスは2019年2月に日本に相談窓口を開設している。日本語のウェブサイトにアクセスし、精子ドナーを選ぶことができる。ドナーの登録者数は世界最多で約1千人いる。100カ国以上に精子を販売し、すでに6万5千人以上が生まれている。
日本語のサイトにアクセスしてドナーを検索しようとすると、まず身元開示ドナーか身元非開示ドナーかを選ぶ。前述したとおり、これはドナーが匿名提供するか、非匿名提供するかによる。匿名提供のドナーにしたあと、非匿名に変更することはできない。
最初に考慮すべき最優先事項は、今後生まれてくる子がドナーに連絡を取れるようにするかどうかである。非匿名提供をしているドナーはあとから連絡してくる可能性を理解しているので、それについて悩む必要はない。
次に考慮すべきことは、ドナーについてどの程度知りたいかということだ。それによって詳細プロフィールか基本プロフィールのどちらかを選ぶことになる。番号で管理されている基本プロフィールには人種、民族、瞳の色、髪の色、身長、体重、血液型、職業、教育の情報が記載されているが、基本プロフィール付きドナーは匿名ドナーにも非匿名ドナーにもなることができる。
詳細プロフィールは仮名で登録・管理されており、本名ではない。基本プロフィールに加えて、学歴、家族の出自、性格、趣味、ドナーの子供のころの写真、手書きのメッセージ(ドナーになった理由など)、また一部のドナーは成人してからの写真も提供している。
「ドナー独占権」という興味深いオプションもある。普通ドナーは複数の家族の子供のドナーになる可能性があるが、「ドナー独占権」を選ぶとそのドナーは他の家族の子供のドナーにはならない。この価格は1万2千ユーロから3万6千ユーロ(約163万~490万円)になるが、他の異母きょうだいができないという保証がある。個人がネットで提供している精子は何の検査も経ていないので、遺伝病などあまりにもリスクが高いことを考えると、クリオスが提供するサービスは品質が保証されたものであると言えるだろう。