以下は、具体的な内容についてのリースリヴ氏との一問一答だ。
――精子を買う人側に何か制限はありますか。
「国が規制している場合もありますが、クリオスは何の制限も設けていません。われわれは新しい家族の形成方法をサポートしています。シングル女性でも同性愛カップルでも子供が欲しい場合は我々に頼ってくることが多いと思います」
――最終的にドナーとして合格する割合はどれくらいですか。
「5~10%と非常に厳しいです。世界中で十分なドナー精子の供給があるのはアメリカとデンマークだけです。デンマークにはドナーになりたい人がたくさんいるので、少しでもわれわれの基準に達しない精子は拒否します。精子の運動率や健康診断で合格しても多くのドナー候補は遺伝病検査で引っかかることがあり基準に達しません」
――デンマークは献血人口が世界最大で、精子ドナーの46%は献血者で、利他的なモチベーションが理由の一つであるといいます。合格したドナーが一回の提供でもらえる金額はいくらですか。
「法律で最高70ユーロ(日本円で約9500円)と決められています。精子の質以外で、もらえる金額に影響する要素は、匿名提供にするか非匿名提供にするか、赤ちゃんのときの写真を公開するかなどです。どこまで個人情報を精子購入者にオープンにするかによって金額は変わります。平均は30ユーロ(約4000円)くらいです」
――非匿名提供のドナーの場合、より多くもらえるのでしょうか。
「そうです。そういうドナーをリクルートするのは難しいし、彼ら自身の人生にも影響するからです。あとからその精子で生まれた子から連絡される可能性も十分あります。ただ、昔は匿名提供のほうが多かったのですが、最近の若者は進んで非匿名提供を選ぶ傾向にあります。ただクリオスでは非匿名提供のドナーになる場合は最低年齢を25歳にしています。しかも医師による『成熟度評価』を受けなければなりません。非匿名で精子を提供することがどういうことか深く理解していることを医師によって確認されないと合格しません」