■鎌田と遠藤と堂安と

 一方、1戦目を終えたあとにドイツ人記者、コスタリカのテレビディレクターにも日本代表の印象について話を聞いてみた。

「まだ1試合終わっただけ。内容的には日本が勝ったというより、ドイツが負けたという印象だね。多くの記者が後半、日本がフォーメーションを変えたことをドイツの敗因に挙げていたけれど、後半もドイツはチャンスを作れていた。どちらかと言えば自滅したと思う。日本がどこまで行くか? まだ1試合終わっただけで、判断はできない。先のことを考えるのは早すぎる。ドイツはダメだと思うけれどね」

ドイツのハンス・デクスンさん(筆者撮影)
ドイツのハンス・デクスンさん(筆者撮影)

 ドイツのテレビ「ZDF」のハンス・デクスン記者は、日本の印象よりも自国の不甲斐なさをそう嘆いた。日本の選手で印象に残った選手を聞くと、「カマダは良い選手だ」と名前を挙げつつ、「でも、ブンデスリーガの上位クラブでプレーしているわけではない」と注釈をつけた。

ドイツのメリーナ・ダフナーさん(筆者撮影)
ドイツのメリーナ・ダフナーさん(筆者撮影)

「ワタルは良い選手ですよ。私たちのキャプテンだし」と

 横からそう口を挟んだのは、ドイツ「ARD Radio」のメリーナ・ダフナーさん。ただ、デクスン記者によると、彼女はシュツットガルト出身で「ひいき目」があるとのこと。するとメリーナさんの同僚、アルミン・レーマンさんからも突っ込みが入る。

アルミン・レーマンさん
アルミン・レーマンさん

「ドーアンはフライブルクだ」

 堂安律が所属するフライブルクはブンデスリーガ2位でリーグ中断を迎えた。「それは今だけ」とデクスン記者も返答。首位バイエルン勢が中心のドイツの優位を強調したが、日本に1敗を喫し、最終節で逆転が可能であるものの、2戦を終えて4位であるのは紛れもない事実だ。

■コスタリカから力強い握手

 コスタリカのテレビ「Canal7」のディレクター、リベラ・チャベス・マルコ・ヴィニシオさんは日本に対するリスペクトを語った。ドイツ戦勝利を受けて「日本は素晴らしい。育成年代のチームの大会も取材したことがあるが、若い世代からしっかり育てて強化につなげていると感じます。それはコスタリカも見習いたい部分ですし、その成果がドイツとの試合に表れたのでしょう」と称賛。「このグループの中で日本は決勝トーナメント進出に値する」と対日本戦を前に語っていたが、結果は0-1で日本が敗戦。試合後にかわした握手は、妙に力強かった。

 グループステージで連勝を飾ったのは、フランス、ブラジル、ポルトガルの3カ国だけだった。日本にはそのチャンスがあったが、W杯はやはり甘くはなかった。実現していれば、世界に大きなインパクトを与えられたと思うとコスタリカ戦の戦いぶりは何とも悔やまれる。

 ただ、まだすべてが終わったわけではない。日本はドイツ戦の結果がフロック(まぐれ)ではないと、スペイン戦の結果をもって世界に証明できるか――。

(ライター・佐藤 景)

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