「価値あるアイディアを広める」を合言葉に、さまざまな立場の人がその人ならではの知見を広めるためにプレゼンテーションを行う「TED」のステージで、社会心理学者のエイミー・カディ氏がこの言葉を使っていました。
なんでも、私たちの姿勢や表情など、非言語の行いは、自分自身に対して大きな影響を与えているとか。「楽しくて笑う」のは当然ですが、「笑うと楽しくなってくる」と言いますよね。その原理で、「自信があると、自然と胸を張る」と「胸を張ると、自然と自信が湧いてくる」も同様なんだとか。
例えば仕事の面接前で緊張しているとき、両腕をバンザイするように広げる、体を大きく前に開くなどの「パワーポーズ」をとると、ホルモンの分泌も改善し、実際に自信を持って行動できるようになるのだそうです。つまり、同じ課題に取り組むにあたって、小さく縮こまってとりかかるよりも、堂々と胸を張り「よし、私にはできる!」というフリをすることで、力を発揮できる。自分自身に対しても「フリでいい」と! これは目からウロコでした。
「フリ」で小さく変身してみることも、立派な自己改善です。すぐ成長に結びつかなくても、焦ることはありません。そもそも私たちはきれいな比例直線を描いて変化していくわけでないですしね。「大丈夫、フリでもいいんだ」と自分に声をかけながら、手を変え品を変え、いろんなことを試していきませんか。
たとえうまくいかなかったとしても、「あ、これは違ったか。ひとつ勉強になったわ」と、元いた場所に戻ってくればいいだけ。同じ場所に留まり、まったく動かなかったときよりも、はるかに貴重な「経験」というお土産を持ち帰ることになります。
いつまでも進化をやめない先輩方を観察していると、常に自分の中で新しい挑戦を続けているようです。もしかすると「フリ」なのかもしれませんが、それもカッコいいじゃないですか。
さあ、あなたなら、まずはどんな「フリ」から始めてみますか?
【ここまで聴いてくれたあなたへ】
「フリ」をすれば、中身もついてくる。
(構成/小川由希子)