自由契約だけで18人、トレード、引退組を合わせると、計24人もの選手を入れ替えたのが、02年オフの阪神だ。

 就任1年目のシーズンを4位で終えた星野仙一監督は、チームがなぜ10年以上もBクラスにいるのか、マスコミなどの協力を得て分析調査した結果、選手が人気球団の特別待遇の上にあぐらをかいている“ぬるま湯体質”が最大の原因だと気づいた。

 この体質を変えるには、血の入れ替えが必要不可欠と考えた星野監督は、上積みが見込めない中堅、ベテランの投手を中心に一世一代の大ナタを振るう。

 星野伸之、葛西稔の2人は引退。横田久則、舩木聖士、遠山奨志、伊藤敦規、弓長起浩、成本年秀、部坂俊之、山岡洋之、原田健二、川俣ヒロアキ、面出哲志、西川慎一、根本隆輝、吉田浩、カーライル、ハンセン、ホワイト、バルデスの18人は戦力外通告を受け、坪井智哉、山田勝彦、伊達昌司、松田匡司の4人はトレードで放出された。

 異例の大量解雇に、番記者が「70人枠を確保できるのか?」と心配すると、星野監督は「今までチームに不要な人間が20数人いたんや。そっちのほうがおかしいやろ」と反論した。

 そして、入れ替わりで入団してきたのが、FAの金本知憲をはじめ、下柳剛、伊良部秀輝、野口寿浩、中村豊、佐久本昌広、久慈照嘉、石毛博史、柴田佳主也、田中聡の移籍組10人とポート、ウイリアムスの新外国人2人。新人も杉山直久、江草仁貴、中村泰広、久保田智之、三東洋、林威助、田村領平、新井智、伊代野貴照、萱島大介、松下圭太と大量11人が加わった。

 大幅な入れ替えは、選手たちに「結果を出さないと、今度は自分がクビになる」の危機感を植えつけた。また、戦力外のほとんどが投手だったことから、「今度は野手がターゲットになる」と野手組の尻に火がついたのは言うまでもない。

 チーム全体の3分の1以上を入れ替えるという“荒療治”の結果、翌03年、阪神は18年ぶりの優勝を実現した。

 若手を中心に、かつての星野監督に匹敵する大リストラを断行したのが、20年オフの巨人だ。

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巨人は“血の入れ替え”が裏目に?