ロバーツは米軍人だった父と日本人の母親の間に沖縄で生まれた日系2世。現役時代は俊足の外野手としてドジャースなどで活躍した。彼のプレーで最も有名なのは、レッドソックス時代の2004年に見せた好走塁だろう。

 ア・リーグ優勝決定シリーズで宿敵ヤンキースに3連敗を喫して後がなくなったレッドソックスは、第4戦で1点を追う9回にロバーツを一塁走者の代走に出した。ここでロバーツは初球からいきなり二盗を成功。さらに2球後にはビル・ミラーのセンター前ヒットで同点のホームを踏んだ。盗塁に失敗すれば反撃ムードも断たれて敗退濃厚となるシーンで見事に決めたのは走塁のスペシャリストとしての面目躍如だった。

 これで息を吹き返したレッドソックスはこの試合をサヨナラ勝ち。勢いに乗って3連敗からの4連勝でヤンキースを下すと、ワールドシリーズでも86年ぶりの優勝を果たして「バンビーノの呪い」を過去のものとした。それもこれもロバーツの盗塁成功がターニングポイントだったのは間違いない。

 引退後は2015年途中にパドレスの代理監督を務め、メジャー史上初めて日本出身の監督に(日系の監督としてはマリナーズを率いたドン・ワカマツの方が先)。20年にはドジャースの指揮官としてワールドシリーズ制覇も達成している。

 活躍度で言えばナ・リーグMVPに輝いたクリスチャン・イエリチ外野手(ブルワーズ)。母方の祖父が日本人の日系3世で、曽祖父はNFLで活躍したフレッド・ジャークという家系の出身だ。

 17年の第4回WBCでは米国代表として優勝に貢献し、最優秀外野手にも選出。メジャーでは18年に打率3割2分6厘、36本塁打、110打点、22盗塁で首位打者とMVPに輝き、翌19年も打率3割2分9厘、44本塁打、97打点、30盗塁で首位打者を獲得した。

 この活躍が認められて20年3月に9年総額2億1500万ドル(約276億2000万円)の大型契約で契約延長。ただしその後の3年間は故障や不振が続き、昨季は154試合で14本塁打どまり。今季こそ完全復活が期待されている。

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