2位は陽岱鋼だった。日本ハムで走攻守三拍子そろった外野手として活躍し、16年オフにFA権を行使。オリックス楽天との争奪戦を制して巨人が5年総額15億円の大型契約を結んだが、コンディション不良や故障で思い描いた成績を残せなかった。18年オフに丸佳浩が広島からFA移籍で加入したことも一因かもしれない。5年契約の最終年となった21年は7試合出場に終わり、退団を決断。5年間で規定打席に到達したシーズンは一度もなかった。スポーツ紙記者は「期待が大きかった分、風当たりも厳しくなった。首脳陣ももう少しチャンスを与えたかったと思うが、他の選手と際立った違いを見せられなかった」と振り返る。

 3位は門倉と森福で3票ずつ。門倉は横浜(現DeNA)で2年連続2ケタ勝利をマークしたが残留交渉が不調に終わり、06年オフにFA宣言。メジャーの数球団が獲得に名乗りを上げたが、巨人へ移籍を決断した。しかし、先発で結果が残せず、2年限りの在籍で登板機会を求めて退団。カブスとマイナー契約を結んだがメジャー昇格はかなわず、韓国球界でプレーした。森福はソフトバンクのリリーバーとして活躍。10シーズンのうち5シーズンで50試合以上登板と鉄腕ぶりを発揮したが、16年オフにFA移籍した巨人では試練が待ち受けていた。移籍初年度から痛打を浴びる場面が目立ち、2年目以降はファーム暮らしが大半に。19年シーズン限りで戦力外通告を受け、現役引退した。

 5位にランクインした野口茂樹も輝きを放てなかった。中日では最優秀防御率に2度輝き、リーグ優勝を飾った1999年にはMVPにも選ばれるなどエース左腕として活躍したが、2005年オフに巨人にFA移籍すると先発、救援ともに全盛期の投球から程遠く、08年シーズン限りで退団。ただ、野口は中日時代の02年から成績が下降線をたどっていた。FAで獲得した際にも活躍に懐疑的な見方があり、人的補償で中日に移籍した小田幸平が落合博満監督に高く評価され、縁の下の力持ちとして貢献する皮肉な結果となった。

 FA補強は必ずしも成功するとはいえない。選手にとってもリスクがある決断といえるだろう。(今川秀悟)

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