Do One Goodによる災害対応ペットシェルターの構想イラスト。イラスト中央のコンテナが受付兼預かり車。ドクターカー(イラスト内左)やグルーミングカーも待機し、ペットが心身ともにストレスを受けないよう配慮する(イラスト提供/Do One Good)
Do One Goodによる災害対応ペットシェルターの構想イラスト。イラスト中央のコンテナが受付兼預かり車。ドクターカー(イラスト内左)やグルーミングカーも待機し、ペットが心身ともにストレスを受けないよう配慮する(イラスト提供/Do One Good)
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Do One Goodが運用する災害対応ペットシェルターの内部(写真提供/Do One Good)
Do One Goodが運用する災害対応ペットシェルターの内部(写真提供/Do One Good)

 2011年の東日本大震災では多くのペットたちも被災し、元の家に戻れなかった。以後対策が進んだが、災害時は不測の事態も起こる。災害時、ペットの命をどう守るか。自治体はもちろん、ボランティアの取り組みも進んでいる。AERA臨時増刊「NyAERA2020」から。

【写真】災害対応ペットシェルターの内部

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 災害時、ペットの命をどう守ればいいか。

 2019年の台風19号で、長野県では千曲川の堤防が決壊し、浸水被害が出た。

 長野県では数年前から、県、獣医師会、長野県動物愛護会で協定を結び、災害発生時には被災動物救護本部を立ち上げる仕組みを作っていた。台風被災当時、事務局として対応にあたった長野県健康福祉部食品・生活衛生課長補佐の橋井真実さんはこう振り返る。

「現場での課題の多さを実感しました。仕組みはあっても、発災時に誰がどこでどう行動するか具体的に落とし込めていなかった」

 長野県にも災害時ボランティアの登録制度がある。さらに今回は発災後、登録されていない100人から支援の申し出があった。だが被災の混乱のなか、どこにどんなニーズがあるのか把握し、支援につなぐことは難しかった。

「被災の多かった長野市でのペット預かりのマッチングは十数件でした。各保健所や市町村、ボランティアも含めた研修会に力を入れ始めたばかりで、机上訓練まで踏み込みたい、と話していたところに台風が来てしまった……」(橋井さん)

 都市部とは違い、外飼いのも多い。飼育方法もまちまちで、ワクチンの接種率が低かったり、猫トイレに慣れていなかったりするケースもある。

「災害時、ペットに対しては、まず飼い主に責務があります。また、避難所運営側にも体制整備が求められます。誰もがその心構えをしていくことが、今後の課題と考えています」(同)

 大規模災害に備える民間ボランティアもある。

 地震などでも活動した「Do One Good」は基金を立ち上げ、ペットと家族のための災害時支援チームの構築を目指す。代表の高橋一聡さんは言う。

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