「親指の付け根、小指の付け根、かかとの前側を特によく刺激してくださいね」(浅見さん)

 次に「仰向け9090呼吸」。呼吸の練習をするのだが、息を吸うときに正しい体の形をつくることがポイントだ。仰向けに寝て、椅子にかかとをのせる。膝と腰は、ともに直角(90度)に。足は骨盤の幅で少しだけ外側に開く。かかとで軽く椅子を押し、太ももの裏側に少し力が入る感じだと、なおよい。首や胸が反ってしまう人は枕を頭の下に入れる。

 首が長く伸びるように、ややアゴを引く。鎖骨の下を広くするイメージで胸を横に広げる。肋骨は骨盤に向けて下げる感じでリラックスさせること。腰と床の間が指1本くらいの隙間でゆったりしているのが理想だ。

「腹筋の中でも腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋という筋肉の伸縮性を高めたいので、おへその横に手をおいて、おなかの横の筋肉を意識しながら呼吸しましょう。吸うときは胴体を横に広げるように。吐くほうが大事です。背骨が長くなるイメージでゆっくり吐き切ってください」(同)

長く息を吐くとむせてしまう人は、タピオカドリンクなどに使われる太いストローをくわえるといい。うまくできるようになれば、横隔膜の下にある「腹腔」が安定し、体が軽くなる。起き抜けや寝る前に、椅子なしで呼吸するだけでもいい。

最後は「壁から腕伸ばし」。腕伸ばしといいつつ、壁を利用して全身をなめらかに動かすのが目的だ。余裕があれば、肩甲骨を意識しながら、伸ばした手をゆっくり回してみよう。ついでに後ろ足をゆっくり持ち上げ、足の付け根を感じながら回すのもおすすめ。痛いことはせず、気持ちがいい方向に回して、やわらかく可動域を広げていく。

ピラティスレッスンを終えた2人の共通の感想。

「関節とか首とか背骨とか、いろいろと伸びる。かなり気持ちよくてスッキリした。自分で自分にマッサージしてる感じ?」

これなら続くかもしれない!(ライター・向井翔太)

AERA 2020年1月13日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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