同アプリを運営するトリビュー代表の毛迪(もうでい)さん(29)は話す。
「私の場合は、18歳の時から約10年間、鼻や顎へのヒアルロン酸注入を定期的に受けています。時間とともに効果が薄れるので、美容院に通うのと同じ感覚で通っています」
日本医科大学付属病院で美容後遺症外来を担当する傍ら、共立美容外科でも美容外科手術を行う野本俊一医師は、美容外科手術は、二重にしたり鼻を高くしたりする「美容整形手術」と、シワやたるみをとって若返りをはかる「抗加齢手術」の二つに大きく分類できるという。
「依存になりやすいのは格段に前者の方でしょう。全くの別人になりたいのと、若い頃の自分に戻りたいというのとでは、手術後のセルフイメージがまるで違う。別人になるのは終わりがないからです」(野本医師)
野本医師によると、必要以上に美容手術を繰り返す人は一定数存在するという。だが、美容外科は自費診療であるため手術適否に対するガイドラインは存在せず、個々の医師にゆだねられている。
「依存傾向にある方に『これ以上はやめたほうがいい』とアドバイスしても、手術を引き受ける別の医師を探してしまう。残念ながら、お金さえ払えばどんな手術でもする美容外科医は存在します」(同)
たとえば、「プチ整形」とされるヒアルロン酸によるシワ取り注射においても、鼻や頬の皮膚の壊死(えし)、失明や脳梗塞といった事故が起きている。美容施術を繰り返し受けることは、負担も大きく、後遺症などのリスクも高める。
「一度メスが入った体内では“癒着”という現象が起こります。手術回数が増えるほどに組織は硬くなり、手術の難易度も上がる。基本的に、同じ部位の外科手術を複数回繰り返すのはおすすめしません。人の顔は静止画でないので、筋肉や皮膚の質感などの表情筋の動きは、手術を繰り返すほど不自然になっていきます」(同)
クリニーク デュボワ美容整心メンタル科の中嶋英雄医師は、10年前に形成外科医から精神科医に転身した。クリニックには美容整形に関するさまざまな悩みを抱えた患者が訪れ、なかには「美容整形が止められない」という人もいる。