アプリの登場や動画公開、テレビCM……美容整形は急速に身近なものになり、受ける人の意識も変わった。20代の長野有里奈さんは、「整形は努力だ」と語る。
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これ、この顔だ──。
今年5月、鼻下と口元の距離を縮める人中縮小術と、口角を上げる口角挙上術を韓国で受けた20代の長野有里奈さんは、手術直後の顔を見て、心の中でこうつぶやいた。
初めての美容整形は、親に頼んで中学卒業祝いとして受けた埋没法二重術。周りの友達は二重なのに自分だけ一重なのがイヤで、小学校5年生の時にはいつかやろうと決めていた。だが二重の幅が思うようにならなかった上、糸がすぐに取れてしまい、1年後に再手術。いずれも3万円程度だった。二重にしてからも、自分の顔に満足できなかった。かわいい子は特別扱いされるし、モテる。恋愛がうまくいかなかったことも、「もっとかわいかったら」という思いに拍車をかけた。整形費用を稼ぐために仕事を頑張り、ネイルサロンのオーナーとして成功を収める。そして2017年、長野さんは、本格的に整形を始めた。
胸のヒアルロン酸注入に100万円。施術後も痛みが続いた上、触ると違和感があり、数カ月後に10万円かけて除去した。こめかみのヒアルロン酸注入にも60万円かけたが、アレルギーで高熱が出た。それから、目の部分切開に24万円、これは成功。さらに小鼻縮小術と鼻突縮小術に70万円かけたが、これは失敗。
「好きなモデルの写真を持っていって、『この鼻にしてください』と言ったんです。鼻自体はきれいなのですが、面長の顔が目立つようになってしまって……。私の顔には似合いませんでした」(長野さん)
1カ所変わると全体のバランスが変わり、他の箇所が気になってくる。「むやみに整形すると顔が崩れるかも」。そう思った長野さんはどこをどう手術するべきか、手術法や病院について徹底的に調べ、鼻、輪郭、そして冒頭で述べた人中縮小術の順番にやろうと決めた。「韓国の美容整形がいい」と聞き現地でカウンセリングを受け、18年、韓国で鼻の再手術を受けた。以降、すべての手術を韓国で行っている。