一番驚いたのは、血圧の変化だ。降圧剤を飲んでも160程度だった血圧が、117まで下がっていたのだ。ここ数年、こんな数値は見たことがない。
効果が出ると、さらに結果を求めたくなった。1日8千歩を目標に、毎日歩いた。歩数計が3万歩になる日もあったほどだ。歩くだけでは物足りないので、朝夕に30回ずつ腹筋運動をすることにした。ただし、腹筋運動は内臓脂肪にはほとんど効果がないということを、後日知るのだが……。
2週間後、2度目のファットスキャンの日が来た。目標は100平方センチを切ることだ。
「見るからにやせましたね」
と放射線技師の先生がにこやかに言う。検査後待つこと10分。内臓脂肪量は「101.7平方センチ」──。
100は切れなかったが、15%も減少している。体重は63.3キロで約4キロ減。BMIは25.3から23.8へ。「肥満1度」から「普通体重」になった。
測定後、前出の朝日生命成人病研究所の春日雅人所長・院長に話を聞くことができた。まずは、ダイエット前の測定結果について。
「BMIが25.3で内臓脂肪が119.5平方センチもあるのは、典型的な隠れ肥満ですね」
春日所長・院長によると、夜遅くまで仕事をして、その後つまみをたくさん食べながらお酒を飲み、そのまま疲れて寝てしまうというのが、内臓脂肪を蓄積する典型的な生活パターンらしい。以前の自分に、あてはまることばかりだ。そして、2週間の成果についても見てもらう。
「2週間でこれは、すごいですよ。こうして結果が出ているので、血圧以外にも、血糖値、コレステロール値など、いろんな数値が改善している可能性が高いですね」
ただ、早く減量しすぎたことで、筋肉がやや落ちていることも指摘された。結果を出したくて少し頑張りすぎたところはある。次の段階に進むには、どうしたらよいか。
「重要なことはこの状態を半年ほど維持することです。それができたら、その時の体重から3~5%ほどを減らせればいい。内臓脂肪100平方センチを切ることを目標にしましょう。筋肉を維持しつつ、ゆっくり減量するのがのぞましいです」
鏡に映る姿を見ると、自分でもやせたことを実感できる。腹囲は90センチから80センチに。ベルトの穴が二つも内側に移動してしまった。
こうして身体が改善された今なら、自信をもって言える。
「ダイエットなんて簡単だ!」
(実践者・ライター鮎川哲也、編集部・小長光哲郎)
※AERA 2019年7月8日号