そんなガイエルを、ファンはこよなく愛した。2019年には球団初のOB戦である『SWALLOWS DREAM GAME』に出場し、本拠地の神宮球場に詰めかけたファンから大きな拍手や歓声を浴びたのもまだ記憶に新しい。

「あれは楽しかったな。(日本で)最初の監督のフルタ(古田敦也)さんに、一緒にプレーしたマナカ(真中満)さんも一緒だった。2人とも今も(キャンプの臨時コーチとして)ここにいるけどね(笑)。ずっとアメリカにいるのもいいけど、こうして時々は日本に戻ってきて、みんなと顔を合わせるのも良いものだよ」

 過去2年はコロナ禍のために来日できず、浦添キャンプに参加したのは3年ぶり。現場では選手にアドバイスを送り、他のコーチらと意見を交わすこともあった。今後、コーチや監督として、本格的に指導者としての道を歩む考えはないのだろうか?

「うーん。少なくともメジャーリーグやマイナーリーグでコーチをやろうとは思わないかな。今のアメリカではクリエイティブなコーチは歓迎されない。みんな同じようにやらなきゃいけないんだ。だからこれは自分の仕事じゃないと思って1年で(マイナー球団のコーチを)辞めたんだよ。でも、ここではクリエイティブであることが許されるし、タカツさんも好きなようにやらせてくれるからね」

「タカツさん」ことヤクルトの高津臣吾監督は、ガイエルにとっては来日1年目のチームメイト。ただし、印象的なのはそれ以前のメジャーリーガーとしての姿であり、現在の監督としての姿だという。

「メジャーの時に一度、対戦してるんだ。彼がシカゴ(ホワイトソックス)、僕がカンザスシティ(ロイヤルズ)にいた時にね。確か三振したと思う(笑)。彼はすごく良い人物で、監督としては選手にモチベーションを与え、チームを明るい雰囲気にすることに長けている。その一方で、確固とした労働倫理も持ち合わせているんだよ。彼が選手たちを上手くリラックスさせて、自分らしさを失くさないような雰囲気をつくっているから、選手は能力を最大限に発揮できるんだと思う。それがここ2年、チームが成功している理由じゃないかな」

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コーチとし“現場復帰”の可能性も?