10連休明けで5月病が続出と思いきや、今度は「6月病」が懸念されている。重症化すれば、深刻なうつ病になる可能性があるだけに要注意だ。
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連休明けの不調が連鎖的に蔓延する、職場のコミュニケーション不足で不調の顕在化が遅れる……。そんな理由で、今年特にリスクの高い「6月病」について、精神科医の勝久寿さんはこう話す。
「職場内での負の連鎖によって表れる6月病は、多くの場合、適応障害だと思います」
5月病、6月病ともに、医学的に言えば「適応障害」に当たることが多いという。適応障害よりもさらに深刻な「うつ病」にまで至っているケースはまれだった。
しかし、勝さんによると、近年は、より深刻でうつ病を発症しているようなケースも散見されるようになったという。
「適応障害としての6月病だけでは、新人以外で6月に調子を崩す人について説明できません。加えて、私が6月に診る患者さんの症状の多くが、適応障害ではなくうつ病を示すことに気づいたとき、6月病には『入社、昇進など4月の環境変化をきっかけに2カ月以上の時を経て、適応障害ではなくうつ病として発症するもの』が多いのではと考えるようになったんです」
そもそも、適応障害とうつ病はどう違うのか。適応障害はストレスの原因を取り除きさえすれば比較的治りやすいが、うつ病は原因とみられるものを取り除いても簡単には治らない、などの特性がある。さらに注目すべきは発症までにかかる時間だ。
適応障害は、社会生活のストレスに対し3カ月以内に反応し、急性に発症するのが特徴だ。一方でうつ病は、数カ月以上にわたるストレスの後に徐々に発症するのが一般的。精神科医の三宅永さんはこう話す。
「例えば職場で強いストレスを感じるような大きなプロジェクトがあったとして、まだ本格的に始まっていない段階で早々に発症してしまうのが、適応障害。大変さも一山越えてホッとした頃に発症するのがうつ病です」
これらを踏まえ、4月の環境変化にすぐに反応して適応障害として表面化したのが5月病、4、5月を何とか乗り切ろうとしているうちにストレスが慢性化し、うつ病となって6月頃発症するのが6月病とも言える、と前出の勝さんは考える。
深刻なうつ病ともなる6月病を引き起こしてしまう要因は、「我慢」だという。