■名門短大に優秀な女子学生が集まった時代

 1990年代ぐらいまで、「名門短大」というくくりがあった。

 入試難易度が高く優秀な女子学生が集まった。そして、就職先は著名企業ばかりだった。恵泉女学園短期大もそこにカテゴライズされていたといっていい。

 1983年、旺文社は「全国主要短期大学の入試難易度」を発表している。おもな上位校の「偏差値」は次のとおりだ(学科は英文、英語、人文など)。

 上智短期大62.1、立教女学院短期大60.4、青山学院女子短期大59.9、恵泉女学園短期大59.9、東京女子大短期大学部59.2、学習院女子短期大56.7、東洋英和女学院短期大54.6

 当時、明治大、法政大、中央大に合格したが、上智、青学、恵泉、東洋英和の短大に不合格というケースも見られた。

 1983年、恵泉女学園短期大の就職先も見ておこう。

 三菱商事6人、住友商事5人、東邦生命4人、朝日生命4人、三井物産3人、安田生命保険3人、日本興業銀行3人など(「週刊サンケイ」1983年4月27日号)。 

 男女雇用機会均等法以前の話であり、そのほとんどは総合職採用ではない。しかし、恵泉はこうした大手商社、生損保から絶大な信頼を得ていたことがわかる。

 それは恵泉女学園大学が開学してからも同じだった。教育、進路指導は熱心に行われており、みずほフィナンシャルグループには2016年5人、2017年8人、2018年3人が採用されている(「大学ランキング」2018~2020年版)。

 また、短大以上に恵泉のブランド力を支えていたのが、恵泉女学園中学高校である。教育熱心な保護者に人気があり進学校として知られている。難関大学合格者は次のとおり。

 1993年:東京大1人、一橋大1人、東京外国語大3人、慶應義塾大10人、上智大9人、早稲田大19人

 2022年:東京大1人、東京外国語大1人、防衛医科大学校1人、慶應義塾大6人、上智大18人、早稲田大9人

(1993年は大学通信調べ、2022年は学校ウェブサイトから引用)

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