恵泉女学園大学=同大ホームページから
恵泉女学園大学=同大ホームページから

■早慶MARCHは年々、女子学生が増えている

 早慶MARCHは年々、女子学生が増えており、その原動力となったのは、女子の比率が高くなった社会科学系学部である。2022年、学部ごとの女子比率をみると、青山学院大法学部48.9%、早稲田大政治経済学部34.5%、立教大経営学部50.5%、中央大商学部34.8%、慶應義塾大総合政策学部40.9%となっており(各大学ウェブサイトから作成)、いずれも5年前に比べると上昇している。2023年、東京大文科一類(主に法学部進学コース)の女子合格者が初めて3割を超えたのも、象徴的といえよう。

 残念なことに、女子大にはこうした社会科学系学部がほとんどない。

 恵泉女学園大は人文、人間社会の2学部で、たとえば将来、自分で会社をつくりたいと夢を抱く女子高校生にすれば、選択肢には入りにくくなる。これも「社会情勢の変化」といえよう。

 これに対応するために学部設置に動いた女子大がある。京都女子大法学部、共立女子大ビジネス学部、武庫川女子大経営学部、昭和女子大グローバルビジネス学部などだ。

 また、社会科学系ではなく、看護、薬学、医療、福祉など専門職養成に特化した学部をつくった女子大もあった。だが、こうした分野でも思うように学生が集まらないところがある。

 女子大そのものをやめてしまった大学もある。10年以降では、文化女子大、東京純心女子大、広島文教女子大、東北女子大などだ。

 恵泉女学園大が募集停止、という一報を聞いて、「あの恵泉が」と驚く大学、高校、企業関係者は少なくなかった。「あの」には恵泉は「名門」という思いが込められており、ブランド力があったからだ。

 恵泉女学園大は1988年に開学しており、古い歴史と伝統があるというわけではない。50代以上の教育関係者にすれば、恵泉女学園短期大、恵泉女学園中学高校のイメージが強い。短期大学は1950年、中学は1947年、高校は1948年に開校した。その起源は1929年設立の普通部5年制学校にさかのぼる(短期大は英文科が1999年、園芸生活学科が2005年に廃止)。

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名門短大に優秀な女子学生が集まった時代