恵泉女学園大の学習募集停止は、教育関係者に大きな波紋を投げかけた。
【ランキング】日本一学生数が多い女子大は?女子大ランキング<全3ページ>
大学は募集停止について、こう説明している。
「18歳人口の減少、とくに近年は共学志向など社会情勢の変化の中で、入学者数の定員割れが続き、大学部門の金融資産を確保・維持することが厳しくなりました」(大学ウェブサイト)
社会情勢の変化に対応しきれなかった、ということである。
これは昨今、女子大への志願者が少なくなったことが大きい。
女子大の多くは学生募集で苦戦している。名門とされる津田塾大、東京女子大、日本女子大も例外ではない。10年前に比べて難易度が下がった、つまり人気が低下している。予備校関係者によれば、津田塾大と東洋大に合格すれば、いまでは東洋大を選ぶ受験生がいるという。以前では考えられなかったことだ。
実践女子大、昭和女子大、白百合女子大、聖心女子大、共立女子大のような歴史があるところでも入学者数の定員割れが起きることがあり、大学関係者は先行きに相当な危機感を抱いている。
1980年代以降、短期大学から生まれた女子大がいくつかある。これらはさらに厳しく、入学者数を大きく減らしている。
学習院女子大は2017年431人から2022年358人、東洋英和女学院大2019年504人から2022年327人、そして恵泉女学園大は2019年361人から2022年162人となった。愛国学園大は定員100人で22年入学者は11人となっている。
東京女学館大は2002年に開学したが、定員割れが続き、2013年で大学経営を断念して募集を停止し、2017年に閉学している。
女子大離れの原因はさまざまだ。単純に「男子と学びたい」という高校生が多くなったという面もあるだろうが、少子化で私立男子校・女子校の男女共学化が進み、女子大に対するイメージが湧かなくなった、とみる高校教員もいる。
そして、「女子大だから」というより、「女子大には学びたい学部がなかったから」という理由も大きい。いま、法、経済、経営、商、政策などの社会科学系学部で学びたいという学生が多い。社会で女性が活躍する場が増えたことによって、経済や会計を学んで企業でさまざまなビジネスに挑戦したい、法律を習得して公務員や法曹で世の中に役立ちたい、と思う女子高校生が増えたからだ。