慶應大の白井准教授。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。2009年に発売された著書『森林の崩壊』(新潮社)は、話題を呼んだ(撮影/柿崎明子)
慶應大の白井准教授。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。2009年に発売された著書『森林の崩壊』(新潮社)は、話題を呼んだ(撮影/柿崎明子)
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AERA 2018年11月5日号より
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 少子高齢化が進む中、各大学はそれぞれの特色を打ち出すことで難局を乗り切ろうとしている。その特色の一つ、女性教員数に注目したところ、10年間トップを独走しているのが慶應義塾大学だ。女性比率を上げるための取り組みは行っていないというが、この結果の裏には理由があるようだ。

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 女性教員の数が一番多いのが、慶應義塾大だ。「大学ランキング」(朝日新聞出版)では私立大で10年以上、トップを独走している。常任理事の岩波敦子教授は言う。

「女性比率を上げるために、特別なことをやっているわけではありません。性差関係なく平等にやってきた結果、徐々に女性の教員が増えてきました。本学には、建学以来平等の精神が根付いているからだと思います。施策を打てば即効性はあるかもしれませんが、遠回りのようでもダイバーシティーを受け入れるmindsetを育むことが大切。いろいろな働き方に対する周囲の理解があれば、必然的に女性教員の数も増えてくると思います」

 この4月には男女共同参画室とバリアフリー委員会を再編し、協生環境推進室を発足させた。あえて「男女」をはずすことで、性差を意識させないフラットなイメージを押し出したという。前組織の活動を引き継いだ「研究パワーアッププログラム」は出産、育児の過程にある研究者が、臨時職員を雇用できる研究補助制度。女性教員だけでなく男性教員も利用できる。

「積極的に育児を担っている男性教員もいます。男性がこの制度を使うことで、間接的に配偶者の女性の支援につながる。大学内外に関係なく、働く女性を支援したい」(岩波教授)

 管理職への登用も進んでおり、全10学部のうち、女性教授が学部長に就任している学部は3学部ある。女性職員が多いのも特徴だ。大学職員数は女性が65%を占めている。

 17年に湘南藤沢キャンパス(SFC)に着任した白井裕子准教授も指摘する。

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