「フィルターの典型例ですね。門前払いされた学生は本エントリーすらできません。セミナー前にESを提出させたり、ES提出と筆記試験を同時に行い、学歴で落としたのに理由を曖昧にしたりするケースもあります」
福島さんは背景にあるのは「大学進学率の上昇」「企業の人材分析の結果」「就職ナビの影響力増大」の三つだと分析する。大学進学率が上がり、00年代以降、増え続ける学生エントリー数への対策として、大手企業の多くが、自社内で活躍する社員の属性分析を実施した。その結果、学歴と一定の相関関係が明らかになったという。
さらに「リクナビ」などが就活の主流となり学生への影響力が大きくなったため、優秀な学生を確保したい企業は広告費を払ってでも、そうした就職ナビのランキング上位に入ろうとする。すると上位の企業ばかりに学生の応募が集中するので、企業は学歴フィルターをかけ……というループが繰り返されるようになった。
だが、もちろん学歴フィルター通過=大企業採用ではない。
「そのため、子会社にも偏差値上位から下位まで幅広い大学の学生がエントリーするので、大企業以外も学歴フィルターがかかることになります」(福島さん)
(編集部・作田裕史)
※AERA 2018年9月24日号