女子フィギュアスケート平昌五輪金メダリスト・アリーナ・ザギトワ選手がAERAの表紙に登場した。撮影で垣間見えた、15歳の少女の素顔とは。
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「私じゃないみたい」
15歳の金メダリストは撮影された画像を見るや、目を丸くした。
撮影は4月上旬。アイスショーのために来日した時に、横浜市内で行われた。昨秋の初来日から数えて、4度目の日本。大好きなそばや寿司も、堪能した。
日本好きになったきっかけは、同じクラブで練習を積む平昌五輪銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワの存在だ。
「ジェーニャ(メドベージェワの愛称)が魅力をたくさん、話してくれた」
割り箸も自由に操れる。モスクワに日本料理の店を開くのが夢。「自分がオーナーだったら、日本食をタダで食べられるから」と笑う。
今回の来日では、3年前からモスクワで一緒に暮らす祖母のナジリャさんを初めて連れてきた。撮影の衣装選びは、ナジリャさんの助言だ。黒と緑の衣装で迷う孫に「緑のほうが大人っぽいね」と声をかけた。
祖母について聞かれると、こう即答した。「全てに関して、すごく感謝している。ありがたい」。でも、時にはけんかもする。
「特にね、トレーニングのことで文句を付けるんですよ。例えばジャンプ。『あのジャンプ、なってないじゃないの。あんなことやっちゃだめじゃない』とか、細かいことをあーだこーだ言うんですよ」
早口で笑いながら、話は続いた。
「おばあちゃんは、フィギュアをやったことはないんです。でも、4年も5年も私のフィギュアを見ているから、何かいろいろ覚えちゃったみたい」
インタビュー終了後、傍らにいたナジリャさんは恐縮していた。
「ごめんなさいね。十分な受け答えとは、言えませんね。でも、素晴らしい金メダリストです。自分の目標を達成するためには、ものすごく努力するんですよ」
優しいまなざしで、言った。
(朝日新聞スポーツ部・前田大輔)
※AERA 2018年5月21日号