また、その年にクアーズ・フィールドで行われたオールスターのホームランダービーに出場した大谷は、昨年ア・リーグの本塁打王となったアーロン・ジャッジ(ヤンキース)と並ぶ513フィート(約156.4メートル)と全体で4位タイの飛距離をマーク。1位のホアン・ソト(パドレス)の520フィート(約158.5メートル)には及ばなかったが、先述したマザラの記録は超えている。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパンの打撃練習でも“ケタ違い”の飛距離を見せて話題となった大谷。今季は6月23~25日にクアーズ・フィールドでの対ロッキーズ戦が控えており、ここで会心の一発が飛び出せば、歴代のランキングに入ってくるような飛距離も期待できるだろう。
ここまではスタットキャスト導入後の話を振り返ったが、それ以前の「検証された」ホームランで最長飛距離を記録したのはどの一発なのか。それは意外にもメジャーリーグの試合で飛び出したものではない。さらにその一発を放ったのは、のちにNPBの大洋でもプレーすることになったジョーイ・マイヤー(当時ブルワーズ傘下の3A)が放ったものだというから驚きだ。
その飛距離はスタットキャスト導入後に一番飛ばしたマザラの520フィートを大きく上回る582フィート(約177.4メートル)。また、この一発が生まれたのはロッキーズがクアーズ・フィールド移転前に本拠地として使用していたマイル・ハイ・スタジアムだ。ここでも、やはり高地にあるデンバーではボールがよく飛ぶことが証明されている。
なお、世界屈指の強打者揃う米国で最長飛距離を記録したマイヤーだが、メジャーでは通算156試合の出場で18本塁打。日本では104試合に出場して26本塁打を記録したが、1年で退団となっている。
ここまで触れたデータは全て“裏付け”のあるものだが、それ以前にも公式的ではないものの、「最も飛んだホームラン」として語り継がれているホームランは少なくない。