昨年12月にNPB史上初めて行われた「現役ドラフト」は大成功と言ってよいのではないだろうか。
楽天でくすぶっていた巨人・オコエ瑠偉は選手層の厚い外野陣で開幕スタメンを勝ち取り、リードオフマンとして躍動。ソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎も先発ローテーションに入り、3試合登板で3勝0敗、防御率0.51と抜群の安定感で首脳陣の信頼を高めている。DeNAで1軍定着できなかった和製大砲・細川成也も中日でクリーンアップに定着。確実性が課題とされていたが、スタメンで出続けていることでリズムをつかんでいる。打率3割を超えるアベレージで殻を破ろうとしている。巨人から広島に移籍した戸根千明も救援投手として躍動。4月15日のヤクルト戦で9回を3者凡退に仕留めると、秋山翔吾の逆転サヨナラ2ランで白星を手にした。
現役ドラフトは、出場機会に恵まれていない選手や才能を生かし切れていない選手に環境を変えるチャンスを与え、球界の活性化につなげる目的で導入された。移籍する選手たちはトレードのコマとしては厳しいが、他球団では需要があるという位置づけがしっくりくるだろうか。オコエや細川のように伸び悩んでいた選手がいれば、阪神から西武に移籍した陽川尚将のように1軍で活躍した実績を持つ選手もいる。
「トレードは交換要員で折り合いがつかず、成立しないケースも少なくない。かといって無償トレードはファンの心情を考えると、なかなか踏み切れない。その点で現役ドラフトは出場機会が少ない選手に他球団でチャンスを与えるという前向きな印象が強い。一昔前と違い、他球団に移籍した選手が活躍することで『放出するべきではなかった』とファンから批判の声が上がる時代ではない。今後も現役ドラフトは選手に新たなチャンスを与える場として注目されるのではないでしょうか」(スポーツ紙デスク)
2023年の現役ドラフトの日程はまだ発表されていないが、球界活性の役目を十分に果たしており、開催される可能性は高いだろう。まだ春先で今後に1軍で活躍することは十分に考えられるが、現状打破できずに伸び悩んでいる選手たちは少なくない。では、新天地で大化けする潜在能力を秘めた選手は誰だろうか。