■指輪っかテストのやり方

1.両手の親指と人さし指で輪を作ります
2.次に、「利き足ではないほう」のふくらはぎの一番太い部分を、力を入れずに、1で作った輪っかで軽く囲んでみましょう

東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生 フレイル予防ハンドブックから引用
東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生 フレイル予防ハンドブックから引用

 指で作った輪っかでふくらはぎを囲めない状態なら、サルコペニアの危険度は低いと考えられます。輪っかよりふくらはぎが細くてすき間ができている状態だと、危険度が高くなってきていて、転倒や骨折などのリスクが高まっていくことがわかってきています。

「指輪っかテストで隙間ができる人は赤信号です。囲めない人に比べて、要介護新規認定リスクは2.0倍、死亡リスクは3.2倍に高くなることが研究から明らかにされています。簡易チェックは場所を選ばずに実施できるので、ぜひ活用してください」(飯島先生)

東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生 フレイル予防ハンドブックから引用
東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生 フレイル予防ハンドブックから引用

 また、フレイル度を判定するための「フレイルチェックテスト」というものもあります。食事や運動、社会参加に関連する22項目の質問から構成されており、すでに全国93の自治体に導入されて実施されています。介護予防に関する知識とその重要性を理解してもらうための啓発活動だけでなく、自身が気づき行動してフレイルを予防するために、専門研修を受けた一般市民からなるフレイルサポーターの運営によるフレイルチェック測定会を実施する自治体が増えています。

 正式版のフレイルチェックテストは、一般の人が個人で判定するのが難しいため、フレイルの簡易チェック版として開発された「イレブン・チェック」を、次に紹介します。11項目の質問に答えることでフレイル度をセルフチェックできるので、試してみましょう。

東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生 フレイル予防ハンドブックから引用
東京大学 高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生 フレイル予防ハンドブックから引用

 結果はどうでしたか? このチェックで、日常生活での自分の弱点に気づけたことでしょう。

「フレイルチェックの合計青信号数が多いほど、 要支援・要介護認定者は少なくなります。フレイル予備軍、もしくはフレイルに該当する人も、赤信号を減らし、青信号を増やせるように心がけていくことこそが重要です」(飯島先生)

 できるだけ早くフレイルへの変化に気づいて、生活習慣を見直し対策を講じることが、健康寿命を延ばすための第一歩です。今後この連載では、効果的な運動、筋力トレーニング、食事や栄養など、いろいろな方面から赤信号を青信号に変える方法や取り組み例を紹介していきたいと思います。

(取材・文/坂井由美)

【取材した専門家】
東京大学高齢社会総合研究機構長および同大未来ビジョン研究センター教授 医学博士 飯島勝矢先生

東京大学高齢社会総合研究機構長および同大未来ビジョン研究センター教授 医学博士 飯島勝矢先生
東京大学高齢社会総合研究機構長および同大未来ビジョン研究センター教授 医学博士 飯島勝矢先生