フレイルには、三つの要素があります。一つ目が筋量・筋力の低下(サルコペニア)や運動器の機能低下(ロコモティブシンドローム)などの「身体的フレイル」、二つ目がうつ、認知機能低下などの「精神・心理的フレイル」、三つ目が地域や人との交流がなくなる「社会的フレイル」です。これら三つは、それぞれが影響し合っています。

 たとえば、年をとると誰もが体力や筋力が低下したり、足腰が痛くなったりして、日常の買い物や外出が面倒だと感じるようになってきます。そして、人と接する機会が減ったり、食生活のバランスが崩れたりすることにより、ますます体が衰え、さらには判断力・認知機能といった頭の働きも低下するという悪循環が起きて、さらにフレイルが進行してしまうのです。東京大学高齢社会総合研究機構がおこなった高齢者に対する大規模調査の結果から、フレイルの進行を予防するためには、これらの三つの側面から総合的に対応する必要があることがわかっています。

■筋量・筋力の低下はフレイル進行の一番の危険因子

 その中でも、筋量・筋力が低下する「サルコペニア」は、フレイルが進行する一番の危険因子だといわれます。筋肉量は20歳をピークとして、年齢とともに減少していき、80歳になると60%程度まで低下することが知られます。実際に、サルコペニアであると考えられる人の割合は、65~70歳で5~13%、80歳を超えると11~50%を占めるとの報告があります。

 飯島先生は、「サルコペニア対策はフレイル予防の一丁目一番地」と話し、大規模研究データを元に、高齢者が簡単に筋肉量を自己チェックできる「指輪っかテスト」を開発しました。これは、ふくらはぎの一番太い部分を簡易的に測るものです。両手の親指と人さし指でふくらはぎを囲んだとき、指で作った輪っかよりふくらはぎが細くてすき間ができるようなら、サルコペニアである可能性が高いと判定され、転倒・骨折のリスクが高い状態になっていると考えられます。

「骨折、転倒」は、要介護・要支援の原因の13.0%を占めています(厚生労働省、2019年調査データ)。手の大きさは体格にある程度比例するので、指輪っかテストは特別な機器がなくても、ふくらはぎの筋肉量が体格に比べて維持されているかを自己評価できます。次にやり方を紹介するので、筋肉量が十分かどうか、ご家族で一緒にチェックしてみましょう。

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ご家庭でできる「指輪っか」テストをご紹介