「高度成長が望めない中、企業はコスト削減の一環として雇用に目をつけ、非正規雇用の割合を増やし、賃金を抑制してきました」(関谷教授)
終身雇用も賃金アップも望めないため、生活面でも将来的な予測は立てづらい。数年先に会社があるとも限らない。近隣の海外情勢も不安定だ。
元三菱UFJリサーチ&コンサルティング副主任研究員で、『スピリチュアル市場の研究』の著書があるコンサルタントの有元裕美子さんは、占い市場をこう分析する。
「対面鑑定、電話やメール相談、書籍や雑誌、携帯アプリなど占いには多彩なインターフェースがあり、ニーズはそれぞれ異なります。特に身近なコンテンツとしての『占い』は、恋愛相談だけでなく、仕事運や自己啓発、身近な娯楽など、用途も多様化しているようです」
●断言系から内省系へ
流行する占い自体も、「ズバリ言う」的な断言系から、内省的なテキストへと変遷し、ユーザーの受け止め方も「状況に意味を見いだす」「癒やしを得る」など内面化している。
不確実に慣れ過ぎたゆえに、私たちの占いに対する姿勢も変容を始めているのか。
「占いは、人間関係や仕事、経済活動など、不確実性を孕むあらゆる事象を描き出す魅力的なツールです。占いから手軽な癒やしを得る人が増えているように、今後はリラクゼーションやメンタルヘルス向上を目的としたビジネスとして発展していく可能性があるのでは」(有元さん)
(編集部・熊澤志保)
※AERA 2017年10月2日号