「オルタナティブな知の体系のひとつです。占星術や易経が知の主流だった時代は確かにありました。大きなパラダイムシフトが起こり、いまは『科学』が世の中の行動の合理性の指針になっただけです」(同)

 現存するどの知の体系も絶対ではないし、科学が解明していることもごく一部でしかない。

「例えば占星術は、『地球とその近くのいくつかの星との関係が、地球に住む人間になにがしかの影響を与えている』という考えを前提にしていますが、全否定はできないはずです」(同)

 月の満ち欠けは、潮の満ち引きや生命体に影響を与える。太陽活動が活発になり、太陽フレアが起これば、地磁気が乱れる。

「占いも科学も絶対的ではなく、情報の一つと考え、参考にしているということでは」(同)

●不景気にブーム起こる

 ここ数十年、日本には何度か占いブームが訪れている。占い雑誌「マイバースデイ」の編集・制作を担当していた説話社の田中誠子さんによると、『易入門』がベストセラーになり、戦後初の占いブームが訪れたのが1961年。70年には「anan」が創刊、日本初となる12星座占いの連載がはじまった。

 日本の占いのムーブメントの特徴は「メディアの発達と連動している」(田中さん)、つまり、占いが「コンテンツ」として広く受け入れられてきたことを意味する。

 第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミストの永濱利廣さんは、石油危機やバブル崩壊後の動向から、「景気が落ち込んだ時にブームが起こりやすいのでは」と指摘する。

「現在も景気は回復しきっておらず、従ってはやりやすい素地はあるのかもしれません」(永濱さん)

 国内の景気は、バブル崩壊後から現在に至るまで、はっきりしない状況が続く。リーマン・ショックのように景気が落ち込めば給与やボーナスに響くが、経済指標が景気拡大を示しても、物価や賃金が上がらない。

 企業も個人も不確実性に向き合う時代でもある。日本大学商学部の関谷喜三郎教授(理論経済学)は、景気予測は過去と比べて困難になったと語る。

「たとえば、景気循環を表す設備投資の変動(ジュグラーの波)は、19世紀には約10年周期を持つといわれていましたが、金融やサービス業などの第3次産業が中心になった現代では、以前ほど規則的な循環は示さなくなっています」

 グローバル化により世界中が市場化し、チャンスも増えたが競争も激化した。

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