本誌は「占い」をテーマに取材。人事担当者が採用にあたり占い師を訪ねたといった話が寄せられた(撮影/今井拓馬)
本誌は「占い」をテーマに取材。人事担当者が採用にあたり占い師を訪ねたといった話が寄せられた(撮影/今井拓馬)
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「開運」「手相」といった占いの看板がひしめく横浜中華街(撮影/今井拓馬)
「開運」「手相」といった占いの看板がひしめく横浜中華街(撮影/今井拓馬)

 世の中に浸透する一方で、「非科学的」と眉をひそめる人も多い「占い」。しかし、個人の選択肢が増えすぎ、経験則が必ずしも通用しない現在、「信じる」「信じない」ではない「占い」とのつきあい方があるという――。AERA10月2日号では、「占い」を大特集。金融やマーケティング、カウンセリングなどの世界で「占い」がどう活かされているかを探り、現代社会における「占い」のあり方を多角的に取材した。

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 8月末発表の月例経済報告では、戦後2番目の景気拡大になる見込みという。だが、賃金も物価も上がらず、実感がない。

「現在の日銀の金融政策の原点ともいえる量的緩和は、金融占星術でみると、2001年3月、金星逆行と同時に開始されたものでした。現在まで、景気回復という目標に関して、効果が得られていません。つまり、本質的に誤った金融政策だった可能性があります」

 金融コンサルティング会社アセンダント取締役の山中康司さんはこう言う。

 金融占星術? 何をばかな! 星占いと金融に、何の因果関係があるというのか。そう言いたい人は多いだろう。山中さん自身がそうだった。バンク・オブ・アメリカの為替ディーラーだった1987年、同じ会社に占星術でマーケット動向を予測するディーラーがいると知り、笑い飛ばした。

 天体配置で相場が決まる? ふざけるな! ディーラーなら、金融政策や貿易収支、マネーサプライで判断すべきだろう。

●当たるなら何でも使う

 だが、あるとき気づいた。結構当たっているのでは? 自分より読みがいいのでは?

「相場関係の人間は、天気予報でも靴飛ばしでも『当たるなら何でも使う』という頭の切り替えは速い。数年後、時間的余裕ができたので、占星術を学びだしたんです」(山中さん)

 体系を学んだあと、部下も使って、96年から10年を遡り、経済的な出来事や相場と星の配置を突き合わせた。データ化すると傾向が見えてきた。着目したのは、事象と相場の相関性だ。ドルはいいとされる天体配置で買われ、悪い配置では売られる。水星の逆行が終わる前後は円高に動く。金星の逆行前後は金融政策の変更が裏目に出やすく、火星の逆行前後は地域紛争が起こりやすい。たとえば、水星順行と円高との相関性は73%と出た。7割を超えているなら情報として考慮に入れていいだろう。

「大銀行が占いで相場を張っている」と揶揄されたこともあるが、顧客からの反応は思いのほかよかった。現在、自分のサイトで情報を公開しているが、更新が遅れると「世界中からクレームがくる」(同)という。

 しかし、視点は冷静だ。

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