家事をしない夫、不機嫌な妻……。配偶者の悪口が一種の社交辞令のように飛び交う昭和な光景を尻目に、日本でも新しい夫たちが生まれつつある。
* * *
「なにもしてくれない夫」や芸人のネタによくある「ヨメ怖い」話など、日本では配偶者をディスる言説が支配的だ。いまだに家庭より仕事を優先する男性が多く、現実を反映しているとはいえ、日本には妻が大好きな夫は存在しないのだろうか?
放送作家の鈴木おさむさん(妻は芸人の大島美幸さん)や、昨年末に結婚したタレントのりゅうちぇるさん(妻はモデルのぺこさん)など、「妻が大好き」を公言している男性もいるように、最近はその風潮も少しずつ変わりつつあるようだ。
●ライフワークバランス
IT企業に勤める41歳の男性はこう話す。
「僕は、平日はだいたい18時には家に帰っています。妻と子どもと一緒にいる時間を長くしたいので、土日はほぼ家にいます」
彼は自分を愛妻家だとは思っていないが、「家族を大切にする派」という認識でいる。
「両親の仲が良く、家庭を大切にしていれば、子どもにも良い影響を与えると思います。今後は男女平等で共働きは当然になってくるので、子どももそういう感覚を持ってほしい」
今は育児休暇中の妻が家事をメインで担当しているが、職場復帰したら男性のほうが帰宅が早いので、家事をメインでやることになると言う。
「両親は公務員で、男女平等という感覚で育てられました。業界によって多少差があると思いますが、IT業界は新しい業界ということもあって、男女平等色や非学歴主義が強く、愛妻家のほうが多いと感じます。子育て支援がしっかりしていて、愛妻家が多い会社だと、子育て中の共働きの女性も働きやすいので、子育てで仕事を諦めざるを得なかった優秀な人材が入ってくるというのは最近よく聞きます」
家庭を大切にする価値観のある会社は、人材の取りこぼしも少なく、実績も上がっていく。これを裏付けるように、人材コンサルティング会社に勤める44歳の男性も、次のように語る。