夫も妻も独身時代の金銭感覚から抜け出せず、意外と貯蓄が少ないといわれる共働き夫婦。散財しやすい家計管理のケースとは。
住んでいるマンションから一番近いスーパーは、品ぞろえこそ豊富だが、値段は高い。
「そんな高いアイスクリームを何個も買ったの?」
東京都内の大手シンクタンクに勤務する男性Aさん(37)は、口から出かかったそんな言葉をしばしばのみ込む。自身が買い物をするときは、高価な果物などは我慢し、じっと値札を見比べてから安いほうを選ぶ。なのに営業職の妻(41)は、300円近くする「ハーゲンダッツ」を3個も4個も買ってくる。
二人は昨年、結婚したばかり。どちらも仕事が忙しく、そろって夕食のテーブルを囲めるのは月の半分程度だ。濃厚なアイスを頬張る妻に、Aさんはついムッとしてしまう。
Aさん夫妻は、特に話し合ったわけではないが、家計の支出はお互いの収入に応じて負担する形をとっている。負担の仕方は至ってシンプルだ。月の初めに、ベージュ色の長財布に、Aさんが3万円、妻が2万円を入れておく。さらに、飼っている犬の食費として、2千円ずつを足す。合わせて5万4千円が、毎月、夫婦の共通財布で使えるお金だ。これを食料品や洗剤など日用品の購入費用にあてる。月末にお金が余っていたら、「ご褒美」として二人で外食に行く。
旅行費用も案分する。3月、夫婦でタイに旅行したときは、ホテル代、航空券代、現地レストランでの食事代はいったんAさんが支払ったが、帰国後に精算した。夫婦の年収の水準に合わせて、合計金額をざっくりと夫9対妻5に分けたという。