![動物専用の内視鏡で、ジャーキーを丸のみした小型犬の消化管内部の様子を観察。臓器を傷つけないよう、慎重な操作が求められる(撮影/写真部・加藤夏子)
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![超音波検査(エコー)で犬の腹部の様子を診察する。夜間救急動物病院には人間の医療機関と同等の設備が揃う(撮影/写真部・加藤夏子)
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深夜にペットが倒れたら、どこに駆け込めばいいのか。夜間救急を専ら担う動物病院のある夜に密着した。
午後10時、目に涙を浮かべた小学4年の女児(10)が母親と、東京都世田谷区のTRVA夜間救急動物医療センターを訪ねてきた。ペットのチワワを抱いている。
「カイ君、頑張って」
オスのチワワが女児の腕の中でぐったりしている。
「ジャーキーを丸のみしちゃったんです」と母親が経緯を説明した。エックス線で撮影すると、食道に四角い影が映し出された。
「放置すると食道が炎症を起こします。取り出しましょう」
センター長の中村篤史獣医師(37)は説明した。スタッフの獣医師が、口から動物専用の内視鏡を入れて食道の内部を映し出し、画面を見ながら器具を操作。ジャーキーを鉗子で挟んで取り出した。
「よかった」
親子は安堵した様子だった。
TRVAは、城南地区を中心とする獣医師たちが東京城南地域獣医療推進協会を立ち上げ共同で運営している。診療時間は午後8時から翌朝6時まで。応急処置の後は、かかりつけ医に引き継ぐ仕組みだ。どんな動物が運び込まれ、どんな処置を受けているのか。アエラは10月上旬、TRVAの夜間診療に密着した(発売中のアエラムック「動物病院上手な選び方2016」に詳報)。
同協会代表理事の古谷隆俊獣医師は、TRVA設立の趣旨をこう説明する。
「かかりつけの先生だけでは夜間対応に限界があった。夜間に特化した施設をつくることで地域の獣医療の充実を図りました」
動物病院は個人が自宅で開業するケースが多く、緊急時は夜間にも対応してきたが、一人では体力的に限界がある。近年はビルのテナントでの開業も増え、やはり夜間対応は難しい。夜間救急に特化して地域で共同運営する方式が目立ってきた。
拠点化するメリットは、高度な医療を提供できること。冒頭のカイ君も、近所の動物病院で内視鏡治療ができなかったため、TRVAを紹介され、調布市から駆け込んだ。内視鏡だけでなく、手術室、詳細な血液検査ができる機器、集中治療室など設備が充実している。
「緊急手術時の輸血システムの導入を検討中です」(中村センター長)
※AERA 2015年12月21日号より抜粋
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