認知症の治療は薬だけではない?
認知症の治療は薬だけではない?
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 認知症の治療は薬物療法が中心だが、根本的な治療(キュア)は期待できない。「不治の病」に対処するため、医療現場もケア重視に傾いている。

 アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型、前頭側頭型という4タイプの認知症のうち、薬の効果が期待できるのは主にアルツハイマー型だ。1999年に抗認知症薬「アリセプト」が発売され、2011年には3剤が加わった。アリセプトはレビー小体型にも効果があり、14年から健康保険適用になっている。

 いずれの薬も症状の悪化を遅らせることはできるが、認知症を根治する効果はない。しかし、順天堂大学精神科の新井平伊(へいい)教授は「認知症の治療は薬だけではない」と話す。

「むしろ患者さんと介護する家族が適切な環境のもとで精神的に落ち着いて生活できることが重要で、それを支援する医療や介護の役割は大きい。認知機能が低下しても、穏やかに過ごせればいい人生を送れる。新薬の開発も大事ですが、それ以上にいま認知症と闘っている目の前の人を救う医療や介護が求められているのです」

 その潮流を象徴するケアとして注目を集めるのが「ユマニチュード」。フランス語で、人間らしさを取り戻すという意味だ。

 東京医療センター(東京都目黒区)では、認知症の症状がある入院患者に、11年から実践している。ユマニチュードを日本に導入した同センター・総合内科医長の本田美和子医師は「このケアの柱は『あなたを大事に思っていますよ』と、相手にわかる形で伝えること」と話す。

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