変わったところではトイレや浴室などの住宅設備。LIXIL(リクシル)グループは4月から温水便座を4~6%程度、ユニットバスを1~5%程度、メーカー希望小売価格を上げる。

 身近な食品も例外ではない。ミスタードーナツは「フレンチクルーラー」など3商品を3月6日に10円値上げする。1月にも「ポン・デ・リング」などを10円引き上げていた。

 日清オイリオグループは、4月から家庭用の食用油を1キロ当たり20円以上上げる。原材料の高騰や運送代の値上がりなどが理由だ。

 運送業界の人手不足は深刻で、日本郵便は一部の郵送代を上げる。決まったサイズ以内なら全国一律料金で送れる「クリックポスト」は198円に。通販大手のアマゾンは、出店者の配送代行手数料をアップする。

 ここまで見てきたのは、値上がりするものの一部だけ。全体的に物価が上昇し、家計が圧迫されるのだ。さらに、お金を引き出したり、振り込んだりするだけでも手数料がかさむ。大手銀行は手数料を引き上げる。稼ぐ力が衰えた銀行は、顧客から幅広く手数料を得ようとする。若い世代は手数料の安いネット取引を利用しやすいが、高齢者には厳しい。(本誌・池田正史、浅井秀樹)

>>【後編】『4月から値上がり続出! 「家計難」を乗り切る5つのポイント』へ続く

週刊朝日  2020年3月13日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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