人生も後半になれば老化が進みます。老化とは昨日できたことが、今日はできなくなるということですから、無力感が拡大するのは当然のことです。老化と向き合いながらも、効力感を持ち続けるためには、どうしたらいいのでしょうか。
それには二つのことが必要だというのです。
一つは自律性の感覚です。つまり私が自らはじめたという感覚です。人間には自分は自分の行動の源泉でありたいという気持ちがあり、行動の主人公でありたいというのが基本的な欲求だというのです。
他人から言われてやったり、報酬のためなど見返りを求めて何かをやったりしても、効力感は得られません。何より自分はこれをやりたいと、内からの欲求で選び取ることが大事なのです。
もう一つは他者との暖かい交流です。自分がやったことを周りが認めてくれて、関心を持ち感謝してくれる。こうしたことにより、自分に存在意義を感じて、生き生きした活動を生み出すというのです。
年をとるにつれて、やりたいことがなくなったり、周りとの交流が少なくなったりしていないでしょうか。それでは効力感を持てません。
ナイス・エイジングにとって、大敵であると自覚すべきなのです。
※週刊朝日 2020年2月21日号