西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「よい場に身を置く」。
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【ポイント】
(1)電場や磁場と同じように生命場がある
(2)生命場は体の中だけにとどまらない
(3)生命場が高まったところに身を置こう
がん患者さんと長年、付き合ってきて、つくづく思うのは、がんのありようは様々だということです。同じようながんであっても人によって、まったく経過が変わってしまうのです。それは、がんという病気がからだ(臓器)だけの問題ではなく、その人の人間まるごとに関わるからでしょう。
そうした患者さんの中に、ときに、目覚ましい治り方をする人がいます。その人たちに共通項はないのだろうかと考えていたのですが、最初は見当がつきませんでした。ところがひとつのことに気づいたのです。
それは、その人たちはいずれも「よい場」に身を置いているということです。場というと場所とか環境を意味すると思うかもしれませんが、私の言う場はそれとは少し違います。
以前にも書いたのですが(2018年12月21日号)、電場や磁場と同じように生命場というものがあると、私は思うのです。これは西洋医学よりも中国医学の方がなじむ考え方です。中国医学では生命のエネルギー、気の存在が前提になっています。
この気が流れるルートを経絡というのですが、西洋医学的に解剖しても、それは見つかりません。経絡は生命場が生み出すネットワークだと考えるとわかりやすいのです。
『「気」とは何か』(NHKブックス)の著書がある哲学者の故・湯浅泰雄先生は、中国では後漢の2世紀ごろの医書『黄帝内経』で、すでに月の満ち欠けと海水の干満の関連を指摘し、それに人体の1カ月の変化(サーカルナ・リズム)を結び付けていたと説明した上で、こう指摘しています。