放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、「カレー専門店『般゜若(パンニャ)』」。
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芸能人で「カレー好き」を公言している人は多い。たとえば『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「カレーライス芸人」に登場したのは、バッファロー吾郎Aさん、宮川大輔さん、ケンドーコバヤシさん、ペナルティのヒデさん、チュートリアルの徳井義実さん、オリエンタルラジオの藤森慎吾さんら。
さらに「カレーキング」と呼ばれる関根勤さんは「関根式チキンカレー」の「欧風」と「インド風」をセブン‐イレブンなどで販売したこともあるし、俳優の北村一輝さんは『大阪マドラスカレー赤坂店』のオーナーである。
同じく、カレー好きが高じて、東京・下北沢に『。般若(パンニャ)』をオープンしたのは松尾貴史さんだ。
さて、松尾さんの肩書で読者の皆さんが真っ先に浮かべるのはなんだろうか。
タレント、コメンテーターやナレーターとしてもおなじみだし、コラムニストでもあるし、雑誌の編集委員も務める。さらには演劇ユニットの座長に、大学の元客員教授、落語家、折り紙作家でもある。そして俳優としては、ドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)での存在感溢れる演技が忘れられない。さらに今年は「第26回読売演劇大賞」で優秀男優賞に選ばれた。羨ましい限りの活躍だが、そんな松尾さんがこだわるのが『般゜若』のカレーなのである。
ベースはインドカリーで、出汁や醤油、南インドやスリランカで使われているスパイスをふんだんに使用。
席数20の小さな店だが、「日夜、知恵を絞りながら」洗練させているという。
曰く、ドロドロの体育会系カレーでも、流行の“しゃばしゃばカレー”でもない、「どなたにも楽しんでもらえる」という店主自慢の味。「サブカルの街」下北沢だけあって、俳優やミュージシャンの顧客も多い。松尾さんが筆頭に挙げる常連は、ラーメンズの片桐仁さんだ。とにかく人気の店なので、遠方から駆けつける人もいれば、遠隔地の人から「地元に支店を」との声もあると聞く。
そんな声に応えて完成したのが、『般゜若』監修のチキンカレー(レトルト)だ。
「amazonでも買えますし、『成城石井』には、ほぼ売っています」と松尾さん。税別599円と、やや高めだが、遠方から店に駆けつけることを思えば安いもの。
また、舞台の差し入れに『般゜若』のレトルトカレーを利用している人もいると聞く。何事にもこだわる松尾貴史さんによる、こだわりのカレー。お試しあれ。
『般゜若』 東京都世田谷区北沢2−33−6 1階(ランチ11:30~16:00<L.O.15:30>、ディナー17:30~22:00<L.O.21:30>水曜定休)
※週刊朝日 2019年9月20日号