そして食事の工夫。ここで活躍するのが、貴久美夫人だ。平山家の食卓に並ぶ料理をこう語る。

●野菜はレンジでチン
「灰汁(あく)がたくさん出るものは湯がきますが、出ない野菜は千切りにしてレンジでチンします。湯がくことで栄養素が抜け出ちゃうのはもったいないですから。温めた野菜には、市販のマヨネーズやドレッシングはかけません。酢と佃煮(つくだに)と一緒にいただきます。これを365日、毎食出します」

●小アジの唐揚げ
「頭から尻尾まで全部食べられるように、二度揚げして骨にもしっかり火を通します。毎朝食べています」

●自家製ヨーグルト
「ヨーグルトを手作りしているんです。それにキナコ、すった黒ゴマ、自家製柚子マーマレードをかけてよく混ぜて、バナナをのせます。昼食のデザートとして必ず食べます。ヨーグルトを作る牛乳は、高いのじゃないと駄目(笑)。マーマレードの柚子は、家の庭になったもの。冬の時期に23~24キロくらい採って、1年分を作っておきます」

 茨城県に生まれた平山さんが剣道を始めたのは、小学2年生か3年生のとき。しかしそれは長く続かなかった。戦況の悪化に伴い、剣道どころではなくなったからだ。

 中学2年生で終戦を迎えた平山さんは、「人の命を助ける仕事をしたい」と1951年に東京消防庁に就職した。

「その頃はまだGHQの命令で、剣道は禁止されていました。解禁されてまもなくの昭和28(53)年に東京消防剣友会ができたので、再び始めました」

 ほぼ10年ぶりに竹刀を握って以降、剣道の面白さに魅了されていく。

 仕事は「火事の現場でホースを持って階段を上っていく途中、上からドラム缶が落ちてきて、なんとかかわしたり……。ずいぶんと危険な目にあいました」という激務。剣道が、日頃のストレスを忘れさせてくれたという。「腕を痛めて上がらないときでも、竹刀を持つと痛みを感じないんですよ。不思議ですね」

 50歳を前にした頃、稽古での疲労がなかなか抜けなくなった。そこで決断。ゴールデンバットやハイライトを毎日30本吸うヘビースモーカーだったが、すっぱり禁煙。これが、剣道のため体調管理に気を使うきっかけとなった。

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