著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は、陸上競技指導者・瀬古利彦さんの「ホープ軒」の「ラーメン」だ。
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早稲田大学競走部の2年の頃、ホープ軒のすぐ近くで下宿をしていました。毎朝、仲間と神宮外苑のランニングコースで練習するのが日課でした。
国立競技場での試合後、中村監督(故・中村清氏)が、選手たちにここのラーメンを食べさせてくれることもありました。それまで私が食べていたしょう油味の中華ソバとは違い、最初は衝撃的でしたね。これがラーメンなの?って。背脂がスープ一面に浮かんで、味が濃厚。麺が太めで噛むと歯応えがあり、しかもボリューム満点で。ランニングで汗を流したあとだったので、余計に体が欲しておいしかった。ある日、近くに住む監督に頼まれて、鍋を片手に夜食のラーメンを買いに走ったことも懐かしい思い出です。
いよいよ東京オリンピックまであと1年を切りました。おそらくホープ軒は、外国人客にもうけるでしょうね。選手たちにとっては、自国五輪で走れるというのは幸運なこと。暑さを味方につけて、自分の力を出し切ってほしいと願っています。
(取材・文/沖村かなみ)
「ホープ軒」東京都渋谷区千駄ケ谷2-33-9/営業時間:24時間/定休日:なし
※週刊朝日 2019年9月6日号