家族の介護で仕事を辞める介護離職者は年間約10万人を数える。10万人のうち、介護施設に入れないために離職した人は1万5千人で、残りの8万5千人は、介護保険の仕組みを知らなかったり、職場の理解がないために介護と仕事を両立できなかったりしたケースだ。
突然の介護になってもパニックにならず、平均4~5年の長い介護を続けられる態勢を備える必要がある。まずは、介護に直面した場合、要介護者が住んでいる地域の「地域包括支援センター」に行けば、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが相談に応じてくれる。介護に直面する前に、自分の地域、親の地域のセンターを調べておくとよい。
地域包括支援センターで専門家と話し合い、今後の態勢を整えるための的確なアドバイスがもらえる。そこでは、介護を受ける側だけでなく、介護をする側の悩みも聞いてくれる。
継枝さんは言う。
「簡単に会社を辞めることを考えず、まずは、どうすれば両立できるかを考えるべきだ」
1カ月あたり平均7万8千円程度かかる介護の持続可能性を高めることを考えなければならない。
高齢の夫や妻の介護のときもそうだが、親が倒れて、息子や娘が介護をする場合も、仕事と介護の両立の可能性を探る方向でケアプランを作成することが大事だ。息子や娘が仕事を辞めて付き添ってくれるのはありがたいが、介護が長期化すればするほど、共倒れリスクが高まることになってしまうからだ。
介護サービスを利用するには、要介護認定(要支援認定)の申請、認定調査・主治医意見書、要介護度の認定の結果を経て、ケアプランを作成、介護保険サービス事業者と契約を結び、サービスを利用する。サービスの利用限度額は要介護(要支援)度によって決まっている。また、自己負担の割合(1~3割負担)は世帯所得によって異なり、息子や娘と世帯を一緒にすると、自己負担割合が高くなる可能性もあるので要注意だ。
介護離職の防止に向け、育児休業・介護休業等に係る制度の見直しが行われている。介護休業は通算93日の利用が可能で、3回を上限に分割取得ができる。