「国民健康保険だけで十分です。治療にお金がかかっても、『高額療養費制度』があります。民間の保険に入って高い保険料を払うより、そのぶん貯蓄に回して万が一に備えたほうがよいと思います」

 死亡保障の金額を減らしたり、掛け捨ての医療保険をやめたりすれば、保険料を月1万円浮かすことは難しくない。年間だと12万円分にもなる。

 見直す際に大切なのは、バブル経済以前に加入した、いまのものより格段に有利な「お宝保険」を解約しないこと。

「有利な商品は満期まで入っておくべきです。保険会社の営業担当者が別の商品に乗り換えることを勧めてくるかもしれませんが、当時よりも有利な商品はまずありません。営業トークに安易に乗らないようにしましょう」(丸山氏)

 通信費の見直しも効果が大きい。総務省の「2017年通信利用動向調査」によると、スマホ保有率は50代で7割超、60代も4割半ばに達した。固定電話の保有割合は、50代超の世帯で8割を超え、75歳以上では9割超。シニア層は、スマホと固定電話の両方に費用を使っているのだ。

「スマホを持っていてFAXを使う必要がないようなら、固定電話はやめてしまったほうがいい」(同)

 NTTの住宅用回線の場合、基本料金は月1700円前後。発信者の番号が通知されるナンバー・ディスプレイなどのサービスを契約しているケースも多い。月2千円前後は払う計算になり、解約すれば年2万4千円ほど節約できる。

 スマホも格安サービスがいろいろ出てきた。楽天モバイルなどのように、料金がほかの4分の1程度まで下がるというものもある。通信料金は使用状況により異なるが、夫婦で格安スマホにすると、2人で月1万円安くなることは珍しくない。スマホの見直しだけで、年12万円カットできるかもしれないのだ。

 昨年、大手通信会社の契約から格安スマホに切り替えたある男性のケースでは、月約1万2千円の料金が約3千円になったという。持っているものを使えるので、新たに本体を買う必要はない。

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