さらになぜこのお金を寄付することを考えたのかという「付言事項」を明記することも大切だという。法的効力こそないが、残された人の理解も高まるからだ。

「日本財団遺贈寄付サポートセンター」の担当者も言う。

「まず、どんなところに寄付したいのか、興味のある分野を考えることです。子ども、障がい者、難病支援か、あるいは街づくりに役立てたいのか。もし団体への寄付を考えているのならば、候補となる団体それぞれから、活動の実績がわかる資料を取り寄せます。税制適格かどうかもここで調べておくと良いでしょう。その後、いくら遺贈するのか財産の整理をします。遺贈には二つの形があり、財産を特定して遺贈する『特定遺贈』と、財産の全部または一定の割合で指定して遺贈する『包括遺贈』があります。包括遺贈はもし故人に負債があればそれも財産の一部となるため、団体によっては包括遺贈の受け入れが難しいところもあります」

 現金は受け付けるが、不動産の遺贈は受けていないところもある。一般財団法人「あしなが育英会」は土地・家屋などの不動産の遺贈を受けている。

「日本財団遺贈寄付サポートセンター」には、子どもの自立を機に遺贈を考える人からの問い合わせも多いという。甥や姪にあげて争族になるのを避けたいから、という人もいる。

 お金は天国まで持っていけない。身内に残して火種をつくるぐらいならば、自分で「生前整理」のひとつとして、死後の財産の受取先を指定しておくのもよいのかもしれない。

 人生の折り返し点を過ぎると、年齢を重ねるうちに「残りの人生の蓄えはいくら必要か」と多くの人が考えるだろう。その一方で、これまでの生き方を振り返ることも多くなる。実は記者は猛省している。自由奔放に生きてきた。このまま死んだら、何も自分は残せない気がする。若いころには戻りたいけど戻れない。だから、若い世代にお金を託したいと考えている。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2019年4月26日号

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