伊賀越えを成功へと導けたことは、その存在価値が最大限に発揮された瞬間だったといえよう。
■織田信長の下で出世を果たした滝川一益も登場
戦国時代には、多士済々の忍者が影の世界で活躍した。「忍術」の技を競いながら、自身の「知略」を磨いてステータスを向上させた。合戦で武功を立てる武士とは異なり、「裏面性」を発揮することが任務達成の鍵となった。
2位にランキングされた風魔小太郎は、忍者の棟梁として「指導力」を発揮することにより、北条氏への「義理」を果たしたと評価できる。
滝川一益は、織田家臣団において、羽柴秀吉や明智光秀と並ぶほどの異例の出世を遂げた。出身は近江甲賀郡の滝川とされ、忍者を統率する国人衆だったともいう。そのことを実証できないものの、ランキングに加えた。
忍者は、自分たちの力量を存分に発揮するため、主君を裏切ることもいとわなかった。だが服部半蔵のように主君に対して絶対的忠義を誓う忍者も現れた。やがて忍者は、冒険よりも安定を望み、支配の枠組みのなかで飼い慣らされていった。
(監修・文/外川 淳)
※週刊朝日ムック「歴史道Vol.1」から抜粋