写真はイメージです (c)朝日新聞社
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 9月15日に75歳で惜しまれながら亡くなった女優・樹木希林さん。全身がんであることを告白し、それでもあきらめず女優を続けるひたむきな姿はあっぱれと称賛された。

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 希林さんといえば、40年以上にもわたって、内田裕也さんとの別居結婚を全うしたことで、夫婦のあり方を世間に問いかけてくれた。別れない理由を希林さんはかつてテレビ番組で「気性が荒い自分を抑えるための重しになっている」と語っていた。

 こうした希林さんの愛情を色で表現するなら、強い存在感でひときわ輝くゴールドであろうか。だが世の中には、色も彩りもない夫婦も少なくない。色あせた結婚生活を送りながら、それでも離婚しない女たちがいる。

■同居ちらつかせ生活費を要求

 都内在住の川上美和子さん(仮名・40歳)は、7年前に息子を出産してから、専業主婦になった。子供が1歳になったときに、5歳年上の夫の浮気が発覚。浮気を非難すると「養ってもらっているんだから文句を言うな」と侮辱され、その後も罵声がやむことはなかった。度重なる夫の浮気に耐えきれず、とうとう息子を連れて、都内近郊にある実家に戻った。

「離婚するつもりで実家に帰ったら、両親が反対するどころか、孫がかわいいと歓迎してくれました。しばらくすると夫から『帰ってこい』の催促。そこで長年にわたる暴言に耐えられないと訴えると、夫は『正直が、なぜ悪い』と開き直ってしまって」

 川上さんは離婚を決意した。だがいざ仕事を探すと、ブランクが長いため、ハローワークから紹介されるのはパートのみ。実家近くのデータ入力会社に採用されたが、生活費は両親の年金と川上さんのパート代で合わせて月25万円ちょっと。そこで川上さんは、夫に「父親が入院するからしばらく実家にいる。子供の学費と生活費を出してほしい」と持ちかけると、夫は「戻ってくるんだよね」と念を押すので、「そのうちね」と、同居をにおわせながら、夫に15万円を振り込ませた。その後も毎月振り込んでもらうと、川上さんは次第に「これは楽」と思うようになった。

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